衛星兵であった主人公ヘンリーは、オーストリア軍の攻撃で足を負傷し、病院内で出会ったキャサリンと恋に落ちる。やがて二人は愛し合うようになり、キャサリンは妊娠する。そして、ヘンリーは戦争というものが嫌になり、キャサリンと共に中立国のスイスへと逃亡する。
しかし、二人は戦争そのものからは逃れられたものの、幸せな生活はやって来なかった。
ヘンリーは、戦争から逃れた「意味」を見出せずに残された日々を過ごさなければならない。
この作品は、二人の男と女の悲劇を通して、密かな戦争批判をしているのだと思う。愛する人を失う事によって、戦争というものから逃げる必要もなくなった。戦争と恋愛を扱った最大の皮肉だと思った。最後に生きる糧を失ったヘンリーの虚無感が伝わってしばらく忘れられないです。
ヘミングウェイの文章は読みやすくスイスイいけると思います。他の登場人物も役割がそれぞれはっきりしているので、覚えやすいです。男同士ならではの会話もたくさんあるので笑える部分もたくさんあり、興味本位で読んでも、最後まで読める作品だと思います。