It tolls for thee.
★★★★★
1936年、ファシズムの暗雲が覆うヨーロッパでスペイン内戦が勃発。多くの外国人が義勇兵として人民政府軍に参加して戦った。アメリカの青年 Robert Jordan もその1人。鉄橋爆破の命を受けて、スペイン山中のゲリラ部隊に合流する。
5月というのに時ならぬ雪、ゲリラのジプシーたちとの信頼や裏切り、ファシストに父親を殺害され逃れてきていた Maria との愛..... 息詰まるような数日間。
読み進むうちに、ゲイリー・クーパーやイングリッド・バーグマンと重なり、パブロやピラー、アンセルモなどの登場人物も印象に残っていて、本を読み込むというより映画を思い出すという感じになってしまったが、山中の自然の描写、一人ひとりの人物の書き込まれ方、ファシストのみならず共和軍も含めて戦争という狂気のなかでの人間の残酷さ、様々に心打たれる小説だった。
最後の場面は、まさに John Donne の詩の ...And therefore never send to know for whom the bell tolls; It tolls for thee. が心にしみわたるように、哀しくも感動的だった。
凝縮された人生
★★★★★
内戦を背景としたゲリラ作戦の一部に係る人々の数日間の物語。死を常に意識した時間の中で織りなされる信頼、裏切り、恋などの人間の本質に迫るテーマを非常に凝縮かつ緊張した形で表現されている。戦争の悲惨さは言うまでもないが、人間の内面にあるものをいろいろ考えながら読みすすめていった。
ヘミングウエイの小説を英語で読むのは大学での精読の講義以来であるが、独特の英語のリズムとスペイン語などが混ざった文調は、多少読みにくい点もある反面、この小説の魅力ともなっていると思います。その面では日本語約ではなく、原文で読むことをお勧めします。
英語で読んでほしい
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素晴らしかった。ありふれた田舎の静かな自然のなか、だけど今そこは密やかで過酷な戦場であり、生と死が隣り合わせの緊迫したほんの数日間の出来事である。その一日一日の些細なことまでも書き次ぐなかに、戦争の残酷さ、人のみにくさ、誠実、愛、勇気、などを見事に浮かび上がらせている。そして、最後の日、死にゆく主人公の心情を思うとき、読者は戦争を絶対許してはならないと思うのではないか。私は主人公が死ぬであろう最後の数ページは読むことができないでいる。この本は絶対に英語で読んで欲しい。難しくて分からない部分があっても気にせず
読み進んで、読み終えた感動を味わって欲しいです。切に。