スペイン内線の実情
★★★★★
歴史的な事実の記録より、小説の方が時代をうまく描写していることがあるかもしれない。
誰がために鐘が鳴るは、そういう時代小説の域に到達しているかもしれない。
スペイン内戦という苦しい状況、外国人部隊。
物語の筋も面白いかもしれないが、スペインという現場での状況が手に取るように分かる。
私はこの本を読んで、スペインに行きたくなり、スペイン語を勉強しました。
運命・恋愛・友情について深く考えさせられる1冊
★★★★☆
スペイン内戦を舞台に山間部ゲリラたちと義勇兵ロベルトが鉄橋爆破に至るまでを描いた、人間の運命・恋愛・友情について深く考えさせられる一冊。
読み終えて非常に切ない気持ちになってしまった。多くの障害を乗り越え一行は団結して任務に当たることができるようになる。任務は成功したがロベルトは負傷し共に逃げることができない。恋人マリアと別れなければならない。最も胸を打たれる場面だ。
著者は、人間は運命の前ではなす術がないということを言いたかったのか?いや運命には逆らえぬ孤独な人間の一生を認めながらもそれだけではなく、逆らえぬ運命があるからこそ、恋愛や同士との友情に尊さを見出し、意思の力次第でどれだけでもすばらしい人生が送れることを訴えたかったに違いない。
緊張感とリリシズム
★★★★★
現在文庫で入手可能なヘミングウェイの長編を一通り読了しましたが、私個人の最高傑作はこの作品でした。
900ページ近い長編ですが、終盤の一部を除きほぼ全てゲリラが根城とする敵陣の山中が舞台となっており、場面展開は少なく、登場人物も多くありません。
しかし全く緊張感を途切れさせることなく (というか緊張と弛緩を絶妙に織り交ぜつつ)、一気に読ませます。閉鎖された空間で織り成される群像劇の見事さは圧倒的です。そして背景としての原始の山が(さらに異形の人工物としての鉄橋の存在が)飲み込むような立体感をもって迫ってきます。
ヘミングウェイの人物造形の素晴らしさは他の長編でも味わえますが、私にとってこの作品のいくつかの登場人物は忘れがたい印象を残しました。
中でも、雪の夜の主人公とアンセルモの邂逅の場面、アンセルモの神への祈りの言葉は思い出すたび胸がつまります。
タイトルは素敵
★★★☆☆
タイトルが有名、と言う理由からこの本を読んでみたが内容はイマイチだった。正直、名前負けしている小説かな、と思う。そもそも私はヘミングウェイがあまり好きではない。武器よさらば、日はまた昇る、老人と海、そしてこの作品。色々読んだけれどどれもあまり・・・
アメリカ文学作品ならば私の一押しがサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」次がスタインベックの「怒りの葡萄」3番目がでこれもスタインベックの「エデンの東」。
尚私の友人に言わせると「アメリカに文学など存在しない」そうだ。
呼んだけれど
★★★★☆
戦争モノとして語り継がれている作品ですが、僕にとっては、いまいち取っ付きにくい作品であったといわざるを得ない作品だと思います。
登場人物の喋り方が、雰囲気を出そうとする努力は分かるんですが、そのために逆に読みづらくなっています。わざわざそんな事しなくてもいいような気がします。
僕はヘミングウェイという作家は、生粋の短編作家だと思えてなりません。長編になると、だらだらとしたストーリーに倦怠感を覚えてしまいます。『老人と海』を読んだときのなんとも言えないスッキリとした感覚があまり無かったです。でも、やはり名作だといえる作品だと思えるので。