ヘミングウェイ オブ ヘミングウェイ
★★★★★
上・下巻読むのに、とても時間がかかった。物語は、ほんの3、4日の出来事なのだけれど、なかなか読み進まなかった。
ヘミングウェイは、映画化もされているものの、私は、本のほうが、数段優れていると思う。この主人公たちの心理や思想が、映画のビジュアル面からだけではなかなか伝わらないからだ。
全体として、少し長回しのところが、退屈ではあるものの、ヘミングウェイらしさは、最も表れている作品といえる。
ジョーダンとマリアの恋と、戦争での橋の爆破という使命を軸に、ヘミングウェイの長編には必ずといって登場する英雄的な場面と、それを無に帰してしまう虚無感が漂っている。人間が懸命に生きることと、それでも付きまとう生きることの虚無。すべての人間の人間的な人生に共感を生む、ヘミングウェイの代表作といえる。