コンサルらしからぬ内容
★☆☆☆☆
筆者のコンサルティング経験に基づくと思われる幾つかの大企業の営業改革ケースについてバラバラと書かれており、体系立て整理するようなアプローチではない。執筆のためのリサーチもあったのかもしれないがボリュームが感じられず、どこか底が浅い印象を受ける。ポイントポイントで「こういう視点、切り口は役に立つかも」という気付きを得ることはできるかもしれない。しかし、「BCG流営業戦略」というタイトルからイメージされるであろう、営業活動全体を網羅的につかまえた内容とは大幅な乖離がある。同じBCGの御立氏や内田氏の著作が非常に面白かっただけに、期待を悪い方に裏切られた印象だ。
BCG流営業部門再建手法公開。
★★★★☆
コンサルティング企業が行う営業部門再建手法が良くわかります。
営業部門を立て直したいと真剣に思っている方へお奨めです。
ただこの中でもモデルケースで取り上げている3社のなかで、私もマーケティング力でも群を抜いていると
注目しているユニ・チャームの例をより詳しく知りたい方は
「ユニ・チャームSAPS経営の原点」(二神軍平氏著)が特にお奨めです。
カンブリア宮殿でも放映してましたよね!
型にはめることとクリエイティビティは両立する
★★★★★
一言で言うと、営業組織マネジメントについて、ものすごくわかりやすく書かれた本である。
自由にやらせてもらいたい志向が強い営業組織に対して、あえて型にはめることで、トップ営業マンだけが売上をあげているという構造から一歩抜けだし、ボトムやミドルの営業マンも一定以上の成果を上げられるようにする。
一方で、「営業マンは機会ではないのだから、型にはめるのはどうなのか?」、「自由にやらせてこそ、イノベイティブな成果が生まれる」という意見もあるだろうが、著者は、「型にはめることで生まれるクリエイティビティがある」と断言する。
矛盾するようだが、何の制約もないところから何かを生み出すのはとても難しい。ところが、一つ考えるための枠を用意したり、何かしらの制約をあえてつくることで、新たな発想を生み出せることが多い。
事業側として望むことは、型にはめることで営業組織の全体のレベルアップを図り、その中でクリエイティビティを発揮した営業マンが何か新しい手法を生み出していくことである。
それが実現すれば、事業側が型を進化させ、それを営業組織に展開することで、さらなるパワーアップを目指すことができる。
ちょうど型について考えていたときに読んだので、より一層頭の中に入ってきた。
文章も平易で、事例も豊富なため、読みやすく1,2時間で読めてしまうと思う。
ただ、中身はとても濃厚であり、営業部門、管理部門どちらにいる人にも大変参考になる本である。
営業武勇伝に飽きた方へ
★★★☆☆
BCGの営業本。
ビジネス本ブームもあり属人的な営業武勇伝本が数多く出回っていて、もうその手の本に飽き飽きな方も多いだろう。私もそのひとり。
その手の営業武勇伝本は、プレイヤーとしては大変参考になる点もある一方で、優れた営業チームを作り、永続的に成長させるフレームを言及することは少ない。
組織に根付いた強い営業力をモノにするための、フレームを提示したのがこの本。
改革を阻止する7種類のチェンジモンスターが登場するなど、これまでの焼き回し部分が多いが、根性論しか吐けない営業部長の机の上にそっと置きたい本になるだろう。
第3章が読みどころ
★★★☆☆
第3章「営業パラダイムを変えた企業」に、3社の実例が挙げられています。
1.再春館製薬所
2.ユニ・チャーム・ペットケア
3.仲介事業A社
この章を読むだけでも、十分な値打ちがあります。
特に実名で書かれた2社の成功事例は、具体的な記述でとても理解しやすく、心に残るものでした。仲介事業A社の部分は、仮名の制約で、かなりぼかされた内容となっており残念です。もし他の事例のように具体的な記述であれば、同じような迫力で読むことができたのになあ、と感じずにはいられませんでした。