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The Best and the Brightest

価格: ¥1,493
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Ballantine Books
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"THE BEST AND THE BRIGHTEST" を読みました ★★★★☆
アメリカは何故ベトナム戦争に入っていったのか? ケネディ政権、
ジョンソン政権を通じての経緯を詳細に検証したのがこの本である。
検証の方法はベトナム戦争に関与した政治家、軍人の一人一人を取り
上げて、その生い立ち、経歴、性格を詳述し、彼等それぞれがベトナ
ムにいかなる対処をしたかを追っている。ケネディ・グループと呼ば
れる人々は特に絢爛たる顔ぶれ(The Brightest)であり、その多くは
ジョンソン政権をも引き続き担っていった。中でもマクナマラ防衛長
官はベトナムへの道を主導した人物だといえるだろう。彼こそは The
Brightest の代表であろう。この本では多くのBrightestが果たして
最良の人々 ( The Best ) であったのか? という疑問を投げかけて
いるように思われる。
膨大な統計資料を駆使したマクナマラの戦争分析は誤った判断を下し
、アメリカを泥沼の戦争へ引きずり込む大きな要因となった。そもそ
も在ベトナム・アメリカ大使館、ベトナム駐留アメリカ軍からの報告
に信憑性がなく、ホワイト・ハウスは正しい判断を下す事が不可能な
状態に常におかれていたと言わざるを得ない。
そして第三国の政権に介入する時、米欧列強は腐敗しきった政権の維
持に努めることに結果的になってしまうという点で不思議なくらいに
一致している。
印度支那戦争に敗れたフランスが撤退した後、アメリカは比較的凡庸
な大統領と思われていたアイゼンハウアーが元軍人の本能的感覚でベ
トナムへの介入を拒否した。その後ケネディはキューバ危機の回避に
よって、政治力に自信を深めながらも、ベトナムについては決断を下
す事なく、やがて暗殺に倒れた。この間、南ベトナムはゴ・ヂン・デ
ィエムによる腐敗しきった独裁政権下にあった。今となっては腐敗政
権を支えるためにアメリカが泥沼に足を踏み入れる理由は見当たらな
い。極端に言えばただ何となく深入りしてしまったと言うしかないの
ではないのか? Brightestな人々を集めてみても正しい方向に能力
を結集しなければ, Bestからは程遠い。

この本に登場する数多くのplayerについてこれ以上コメントを並べても
冗長のそしりを免れない。そこで、この本に出てくるキーワードを3つ
ほど記して何とか読後感のまとめとしたい。

No more defeat again
(訳) (朝鮮戦争では負けたが)敗戦を繰り返してはならない。
(解説) これはベトナム戦争に慎重な人々が口にした言葉で
    ある。つまり、ベトナムでも負ける可能性を見ていた
    人々が、介入に反対する意味での合い言葉にしていた。

resilience
(訳) 復元力
(解説) ベトコンあるいは北ベトナムをいくらたたいても
        彼等は驚くべき復元力を見せ、米軍の前に立ちはだ
        かり続けた。当初相手を見くびっていた米軍はこの
        復元力を目の当たりにして、この戦いが大戦争にな
        ることを覚悟せざるを得なくなっていった。

counterinsurgency
    (訳) 対ゲリラ戦
    (解説) 朝鮮戦争までアメリカが経験してきた戦争とは違う
        新しいタイプの戦争がベトナム戦争で、これが最初の
        対ゲリラ戦とも言うべきものであった。
時代の変貌 ★★★★☆
1978年の夏休みをすべて返上してこの本を読みました。ヴィエトナム戦争直後であり、確かに強烈な問題意識を持ってよんだ作品でした。あちこちに書き込みがしてあり、その先入観に毒されたナイーヴな内容には、若気の至りとはいえ、自分でも苦笑してしまうくらいです。でも振り返ってみると、この作品自体も、後知恵に基づき、かなり強烈な民主党左派の先入観によって書かれた作品であることが再認識されます。むしろ、別な読み方もあっていいのではと思えるこのごろです。ヴィエトナムの失敗を見事に分析した作品というよりも、むしろ1950年代から1960年代にかけてのアメリカ社会の変貌を見事に描いた作品と捉えたほうがいいのかもしれません。前半は、中国の共産化に伴い国務省を追われたチャイナスクールの外交官たちの回想に依拠する形で、ヴィエトナムの失敗の源流とも言うべき戦後の米国の対中国政策のボタンの掛け違いが厳しく弾劾されます。しかしこれらの人々の証言自体が、果たしてそのまま文脈を無視して受け止めていいものだったかどうかは、今では疑問です。むしろ今、ページをめくってみて新鮮に受け止められるのは、濃密な時代の雰囲気の描写です。作品の最初を飾るのは、大統領就任直前のケネディとアメリカの奥の院の代表者とも言うべきrobert lowettの人事をめぐる会談の描写です。この部分は、現在の地点から振り返ってみると、すばらしい筆致で、この分水嶺ともいうべき1960年の時代の新しさと歴史性を見事に浮かび上がらせています。