近代のプロジェクトを見据える
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わたしたちは近代という時代があたかも存在するかのように錯覚してしまう。たとえばそれは日本だと明治時代以降に、ヨーロッパならルネッサンス以降にと。
しかし、近代という時代区分は、近代的なるものに先行しない。つまり、近代という時代があるから近代の生活様式があると考えてはならない。そうではなく、近代的なるさまざまな様式が定立するなかで、近代という時代区分が可能になる。
本書は前近代的なるものをひきずりながらも、近代的なるものがどのように成立したのかを、人間中心主義や弁証法などを解体しながら説くものだ。そうした近代的なるものの成立を各章をとおして拾い集めることで、わたしたちが住まざるをえない「近代」の構造があぶり出される。