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講座 臨床心理学〈1〉臨床心理学とは何か

価格: ¥3,675
カテゴリ: 単行本
ブランド: 東京大学出版会
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まさに臨床心理学概論 ★★★★★
臨床心理学の教科書というと、大抵の本では、深層心理を基にした心理臨床(カウンセリング)の教科書となる。
フロイトから始まる歴史を読み、各心理療法の解説、そしてごく一部のアセスメント法が紹介される。

本書は、その様な流れは一切なく、心理療法は「臨床心理学」の一部でしかなく、また、深層心理も心理療法の一部でしかないことがよく分かる内容となっている。
臨床心理学を志し、何を勉強すればいいのか分からない/自覚的に考えた事がない者には、かなり役立つ内容に思う。

しかし、シリーズを通して言える事だが、1パート毎に著者が変わる編集スタイルで、著者の書き方は仕方ないとしても、その基幹となる考え方も統一出来てない様に思う。
考え方の差異は、例えば編者である下山晴彦、丹野義彦においても、下山が欧米を参考にしつつ、日本独自の土壌での再構築を目論み、実証主義・認知行動療法の限界を自明とし、その上で社会構成主義などを用いているのに対し、丹野はあくまで実証主義と欧米の臨床心理学にとらわれている向きがあるのでは、と感じた。
他の著者は、質的にばらつきが見られ、上記二人に遠く及ばず、深層心理を嫌い、素朴に認知理論を用い解釈するだけの項目も中には存在している様に思う。

シリーズ後半で出てくる境界性人格特性の項目に至っては、慢性的なネグレクトが境界例を作るという、さして目新しくもない話を、PTSDであるとして捉え直しているが、その効果を記述するに至っていない。更に、境界性人格特性は、対人・対社会に否定的であると記述しているに関わらず、PTSD告白だけ、なぜ素朴に採用してしまうのだろうか。

以上、幾つか疑問が残るものの、それでも本書が提示する視点はかえがたいものがある様に思う。
現在の臨床心理学に飽き足らない方へ ★★★★★
 日本における臨床心理学の独自性についての記述は、未だ黒船の来ない鎖国時代の日本人を思い起こさせる。そろそろ世界の大勢に気が付くべきだが、いかんせん、いつの間にか学問が宗教になってしまっているのが、日本の大部分の大学院である。
 さらに、他分野との臨床心理学との関係など他書には見られない記述があり、近年の臨床心理学のテキストとしては、金字塔レベルにある。
初めての方でも大丈夫 ★★★★☆
私はこれから臨床心理学を学び大学院入学を考えている社会人ですが、
初心者でも割と読みやすい方の本ではないかと思います。

内容はタイトル通り臨床心理学の概観を説明したもので、各論については
2~6巻を読むという感じ。

私は特に下山晴彦氏が論じる臨床心理学が抱える課題・問題点・展望に
ついては明快であると感じました。

このまま2~6巻も読破しようと思ってます。