念には念を入れて
★★★★☆
すぐれた内容の書物であるが、以下の部分は再考察願いたい。
P63
しかし、健康な子どもを望む気持ちや障害児の養育に対する自信のなさが、障害児の積極的な出生回避を目的とした選択的中絶を肯定し、それを前提として出生前診断を受けるという現実の選択に直結するわけではない。
ここに統計のトリックが見られる。このように結論づけるためには、障害児をもつ保護者も標本集団として入れなければならないのだが、それが入っていないことは明白である。なぜなら、「生と死のおきて」難波宏二著のP147に下記のような記述があるからである。
アンケート結果が示しているのは、実際に日本でも、ダウン症の子供をもつ親の七割が二度目の妊娠に際して、出生診断を受けているという事実である。
レビュアーは、書物を読んで批判すべきところは批判するのが著者への礼儀と考えるが、諸賢の意見をお聞きしたい。