英語を擬人化した成長物語です
★★★★★
英語の成長物語です。この本はとても中身の濃い本です。
1066年にイギリスがノーマン・コンクエストによりフランス人に占領されてから
再び英語が認められる 14世紀まで「英語がどのようだったのか?」という疑問を
持っていたのですが、この本が答えてくれました。
なんと英語の復活を可能にしたのは1348から1350年にかけて猛威をふるった
Black Death・黒死病でした。当時1200万人いたイギリスの人口のうち1/3の400万人が
死に絶えたそうです。その結果、労働力が不足し、最下層の階級の人達
(仏語を知らない)を一つ上の階級の仕事につけざるを得なくなりました。
圧倒的に人手が不足したからです。
それまで公文書は仏語、教会はラテン語でしたが、言葉がわからない人であふれた
ために、公文章が英語で書かれ始めました。1362年ごろです。
王・Kingの書く文章に英語が認められるようになったのは1399年からです。
「歴史の研究」でトインビーが文明を擬人化して誕生、成長、成熟、衰退、死までの
段階をなぜそうなったかを考察しながら説明していました。
このAdventure of Englishは言語のEnglishを擬人化して、成長してゆく様子を、
とくにいじめにあいながら生きのびてゆく様子が良く描かれています。
英語が成長したあとに世界を支配してゆく過程の描写は圧巻です。
著者はやわらかく書こうとしていますが、内容がやはり専門的です。英語も難しいほうです。
かなり英語の語彙(例えば5000語から1万語以上)を持った人が読むと面白いと思います。
この本の存在は、大学生で英語の言語学を専攻している学生の必読書でしょうね。
この本を読んだ後で、英語の語彙を大切に扱い、いつくしみながら偉大な英語という
財産を大切に習得して、後輩に伝えてゆきたいという気持ちをあらたに持ちました。