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教育 (自由への問い 5)

価格: ¥2,100
カテゴリ: 単行本(ソフトカバー)
ブランド: 岩波書店
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尽きることのない問いかけ ★★★★☆
子供にどのような教育を受けさせるか。
親や教師や一般市民や政治家の中でも様々な考えがあり、ときには対立も生まれる。

公教育の内容を誰がどのように決定していくのか。
その中で、個人の自由はどのように守られてゆくべきか。
そもそも教育における自由の主体は誰なのか。
親なのか、教師なのか、子供自身なのか。

また、教育は「自由を育てる場」であると同時に「公共性を育てる場」でもあるから、「自由への問い」は同時に「公共性への問い」にもつながる。
問いかけは教育だけなく、さらなる広がりを持ち始める。

ある意味、根源的で、尽きることのない問いかけだけれども、学校や教育委員会や国の教育方針に時折、違和感を覚える一人の親として、とても身近なテーマだと感じた。
「自由への問い」シリーズの他の本も読んでみたくなった。


明日の教育を考えるために ★★★★★
「現在支配的である新自由主義的な経済ー教育モデルは、それらの中の一つにすぎない。「自律性」という名で閉塞してきた教育学にとっては、学際的なモデル作りの作業への参加が、今後求められることになる。」
最後の言葉である。これこそがまさにこの著書の主張である。

新自由主義的教育のどこが問題か、そしてその対案となるものは何か。
教育学の理論に全面的に拠るのでもなく、学校現場の声を鵜呑みにするわけでもない。
社会学的な見解も盛り込みながら、教育のあるべき姿を追求する本書は決して読みやすいとは言えないが、刺激的な論考に満ちている。

学校選択という多様性を一見追求するような制度がかえって集団内の多様性を排除する。
生涯学習社会は格差の是正ではなく、文化資本の差からかえって格差を強化する。
教育とはパラドクスに満ちている。本書はそのパラドクスを解決するための直接の処方箋にはならない。本書は教育という営為の多様性と可能性を追求するための路程石である。

巻末の基本文献案内も、著者の嗜好が反映されているとは思うが、日本における教育学や教育社会学の動向を知る上で好個の文献案内である。しかし、これほど広範囲にわたる多数の書を読むことは難しいであろうが。
教育とは? ★★★★☆
あとがきでも書かれてあるように著者は理論家というよりも実証研究者であるという。そのことが内容にも少なからず影響していると思う。
ページ数は100ページちょっととコンパクトであるが、内容はズッシリ。
著者が提案する教育システムなども紹介されており、ためになる1冊。
対案は出せているが、疑問もある ★★★★☆
この本の長所
現代の教育をある程度肯定しつつ(著者の基本的スタンス)、現在行われている新自由主義的教育改革の問題点を的確に指摘し、なおかつ妥当な対案を出しているところ。公立学校の選択化などの教育改革が格差を固定する効果を生ずることが予想されるので(英米の研究を参照しながら論証できている)、より教育格差の少ない方法論が選択されるべきで、そのためには(ア)教育機会配分の平等を重視する(不登校支援などを手厚くしたりする)、(イ)教育と経済の関連を綿密にデザインする、(ウ)知識重視型の教育、がなされるべきだ、とする。
この本の短所
ところどころに問題点がある。2点だけ挙げると、(ア)配分の議論だけで十分か疑問(カリキュラムなどの社会化の問題も大事だと思う)、(イ)p12の生涯学習の記述と、p93の再訓練の記述は矛盾しているのではないか(p12の記述が不当と私は考える)。
結論
長所星5つ(新自由主義的改革のある種の妥当性も問題点も指摘できていることが大きい)、短所で星1つ減らして、星4つ。
新時代教育のあり方とは? ★★★★☆
本書は、近年教育改革の主眼とされる個人化・グローバル化、あるいは教育制度の多様性を求める動きに対して、決して一元的な見方をしないところに評価ができる。特に、新自由主義教育における市場原理の導入によって、今まで学校が保持してきた「分配」の機能を強調することになり、結果として社会上に「住み分け」を行わせてしまうという側面を持ちうるというくだりや、また、それに対しての国家の道徳教育、及びそれのオプションとしての“多様な教育”のあり方などに関するアプローチは非常に参考とできる。

しかし、筆者自体が冒頭部分で「教育を語る上では、現在・過去と同時にもしくはそれ以上に、未来社会やその構造を考える必要がある」としながら、その想像・認識力に若干不備があるのではないかと、私には思える。筆者は、経済的な諸価値が絶対とされない、新自由主義的な国家モデルへの転換を日本の歩むべき将来像として提示しているが、「国家」という概念に重きが置かれなくなったとはいえ、実際には経済本位システムから脱却できないところに、日本社会全体の問題意識があるのであり、むしろ、持続可能な経済成長への道を模索することが、社会の命題であるとされる世の中での理想の教育モデルについて模索して欲しかったとも思う