しかし、筆者自体が冒頭部分で「教育を語る上では、現在・過去と同時にもしくはそれ以上に、未来社会やその構造を考える必要がある」としながら、その想像・認識力に若干不備があるのではないかと、私には思える。筆者は、経済的な諸価値が絶対とされない、新自由主義的な国家モデルへの転換を日本の歩むべき将来像として提示しているが、「国家」という概念に重きが置かれなくなったとはいえ、実際には経済本位システムから脱却できないところに、日本社会全体の問題意識があるのであり、むしろ、持続可能な経済成長への道を模索することが、社会の命題であるとされる世の中での理想の教育モデルについて模索して欲しかったとも思う