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See No Evil: The True Story of a Ground Soldier in the CIA's War on Terrorism

価格: ¥1,385
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Three Rivers Press
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 「中東で最も活躍したCIA現場担当佐官、それはロバート・ベールだろう」
(ニューヨーカー誌、シーモア・M.ハーシュ)

 「ロバート・ベールは過去20年間のCIA中東担当の中でもトップクラスの佐官だ」
(アトランティック・マンスリー誌、ロウエル・マーク・ゲレクト)

   本書は、元CIAトップ佐官職ロバート・ベールが、中東の裏社会を命がけで渡り歩いた四半世紀をふりかえった回顧録。その中では背筋の凍るような中東テロリズムの現状、さらに要注意テロリスト根絶活動を目指すCIAに対し、ワシントン政府が介入、妨害行為を行ったという驚くべき証拠が明らかにされている。

   2001年9月11日朝、全世界があの無惨なテロ事件の目撃者となった。真相が明らかになるにつれアメリカ人は不可解に思ったはずだ。これほど長期にわたり世界中で念入りな調整が続けられていたにもかかわらず、なぜCIAはこのテロ行為を事前に食い止められなかったのだろう、どうしてアメリカはこんな奇襲攻撃を受けてしまったのだろう、と。だがロバート・ベールは驚かなかった。あまたの現場を経験し1997年の退任に至るまでの21年間、彼はCIAの凋落をずっと目のあたりにしてきたからだ。冷戦終結後目的を見失ったCIAはしだいに官僚化、いつしか中東その他地域で暗躍するイスラム原理主義者たちの脅威を見て見ぬふりするようになっていたのだ。

   かつてCIA諜報員たちが自らの手を汚し隠密裏に作戦を重ね成果を上げていた時代があった。ベールもその例外ではなかった。一触即発の危機が最も高い中東紛争地域でテロリストたちを出し抜くことに執念を燃やしていた。だが命がけで情報収集に奔走する彼らを尻目にCIAは海外での活動を大幅に縮小、現地の言語や慣習をよく知る人々の確保に失敗、優秀な諜報員を集める交渉よりもワシントン本部との政治的かけひきに長けている者を登用する体質へと変わっていったのである。

   本書はベールが諜報員時代に得た知識やCIAへの幻滅を率直につづった回顧録。だがそれだけではない。最近のテロ事件の見解を根底から覆す前代未聞の事実が暴露された1冊でもある。その衝撃の事実をいくつか挙げてみよう。

*1996年、オサマ・ビンラディン氏はアメリカに対するテロ攻撃調整を目的とする戦略的同盟をイランと締結していた。

*1995年、国家安全保障会議はサダム・フセインに対する軍事クーデターを意図的に中止、彼を排除する最後のチャンスを逸した。

*1991年、CIAはアフガニスタンとサウジアラビアでの活動を故意に停止、原理主義者たちの軍事行動を無視した。

 「幾度とない命の危険も顧みず、最も困難な標的に向かい、国への奉仕をまっとうしたことをここに表する」。これは1997年の退任時、ベールがCIAから勲章と共に贈られた表彰状の一文だ。「国への奉仕」を忘れてしまったCIAに対し、ベールが率直な評価を下した本書。そこにはCIAが政界を超える存在になり、国民主権の維持および「アメリカらしさ」の死守という本来の任務に専念すべきだという、悲痛なまでの彼の訴えがしたためられている。(Book Description, Amazon.com)

イランとサウジを基軸とした国際テロネットワーク、そしてCIAの崩壊 ★★★★★
 本書を貫く縦糸は、レバノンはベイルートのアメリカ大使館爆破テロ事件(1983年)に端を発する、国際テロ活動をCIAの情報マンとして調査してきた著者の活動にある。
 CIA入局後基礎訓練を経たのちにベイルートに派遣された著者は、危険きわまりない環境下で、大使館爆破の実行犯とイランの関係を探知する。この流れはアラファトの国際テロネットワークを「相続」したイランの存在に淵源を発し、やがてはビンラディンに合流することになるだろう(『彼らはひたすらゴールを目指し、その場その場でネットワークを築く。必要なら新たな順列組み合わせで再編する』P522)。
 テロネットワークの「流れ」を探査する過程で、著者はCIAの官僚化(これはCIA幹部エイムズによるスパイ事件の代償と関わりがある)、クリントン政権下での国家安全保障問題スタッフの腐敗に直面し(『われわれがトロイアに出征している間、故国の人たちは酒色にふけっていたのだ』P422)、かかるCIAの状況を内部告発しようとし、CIAを追われることになる。そして、CIAを追われる直前の1か月で著者は、ベイルートの事件にまつわる衝撃的な事実を目の当たりにする(P506)ーこの展開は実にスリリングだ。そして情報収集の基礎体力が徹底的に弱体化されたCIAは、2001年9月のテロを前にしてなすすべはなかったのだ。
 以上が縦糸なら、横糸は、CIA人生の経路での経験だろう。
 豊富な国際経験を積んだ幼少時代。そしてこうした著者のバックグラウンドに目を付けたCIAのリクルート活動。新入局員のトレーニングシステム。『スパイというものは本や講義から学ぶものではなかった。誰かの肩越しに見守ってもらいながら実践から学ぶものだったのだ』(P105)。
 時にはインド、時にはパリ、イラク北部、スーダン、そして時には幻の秘境ヤグノブ(!)を旅する。
 そう、CIA局員としての活動は、紀行としての魅力も同時に兼ね備えているのだ。
 
 イランの核開発が懸念される昨今、イランとサウジ出身の原理主義者のネットワークの関連がさらに注目されてしかるべきと考える。本書はその意味でいまだ価値のある警世の書といえるだろう。

 
CIAこの”ていたらく” ★★★☆☆
 CIAの現場から見た本部の官僚化。良くも悪くもCIAの冷酷な行動や闇の部分が消えていくということ。イラク政策の曖昧さ、911が起こるぞという警告の軽視または無視。超法規的行動部隊がこの”ていたらく”ということなのだろうが、ダレスの時代が懐かしい気もする。
見ざる言わざる聞かざる ★★★★☆
映画「シリアナ」の元ネタとなった、元CIAロバート・ベアの著書。

本の方を先に読みましたが、映画を先に見た方が、この本が伝えようとしているCIAそして米国政府の姿についてのイメージがつかみ易いように思います(映画はあくまでフィクションですが)。
そうでなくとも本作は、特に中盤から人名や地名やらがわんさかと出て読み進むのがなかなかしんどくなってきますので、
ベイルート大使館爆破事件や湾岸戦争等、概略だけでも知ってからの方が本作の読み応えが増すことと思います。

とは言え、そんな背景知識はほとんどない私でもかなり分量のある本作をあっという間に読みきってしまったので心配は無用かも知れません。

現場主義を貫こうとする著者は官僚主義に傾倒していくCIAの中で浮いた存在になっていきますが、もし著者が望むような動きをCIAそして米国政府がしていたら・・・歴史は違うページを刻んでいた可能性くらいはあったのかもしれません。歴史に「もし」は無い、というのもまた事実だとは思いますが。

See No Evilという原題は、見ざる言わざる聞かざる、の「見ざる」の部分にあたるそうです。官僚主義に傾倒したCIAに対する筆者の批判と皮肉が滲み出たようなタイトルだと思います。
その工作員は情熱溢れる営業マンだった ★★★★★
映画「シリアナ」原作ということで、映画鑑賞直後に買って読まずにいたのを、GWでやっと読みました。正直、映画はよくわからなかったので原作にも期待していなかった。
ところが!すごい面白いですよこれ。
たしかに見慣れぬ人名がわんさか出てくるので読みにくい本ですが、そんなの問題じゃない。工作員ボブ・ベアの苦闘の数々はじつにドラマチックで、読む者の胸に迫ります。

本書は主に三つのパートに分けられます。(1)ボブがCIAに就職し、南アジアを専門とする工作員に成長するまで。(2)1995年の北部イラクで、クルド勢力のクーデターに関与したくだり。(3)本土に呼び戻され、クリントン政権への石油業者不正献金疑惑を追うくだり。
「シリアナ」のプロットとなったのは(3)でしょう。私は映画を再見したくなりました。

そして、本書には「肥大し官僚化した組織が、個人の情熱をスポイルし、正義を見失っていく様」が通奏低音のごとく流れています。これは、どんな仕事をしている人間にも思い当たるところのある、じつに普遍的なテーマです。私は工作員ボブに大いに共感しました。
他の方も言及しておられますが、最近の会社もCIAと同じ悩みに直面してますよね?
ボブの苦しみは私たちの苦しみと同じです。ボブが苦闘から得た教訓は、私たちにも有効です。
リアルスパイストーリー ★★★★★
 少々古いが「スパイキャッチャー」のCIA版という感じがしないでもない。ただしCIAの敵は二重スパイではなく、組織の官僚主義と怠慢である。
 常に現代諜報戦の最前線で活躍してきた作者だけに、その辺の平凡なスパイ小説など足元にも及ばない面白さである。
 ベイルート米大使館爆破事件では、内戦下のベイルートで捜査にあたり、崩壊後のロシアでは、将軍たちと射撃に興じ、湾岸戦争後のイラクでは、クーデター計画の支援にあたった。どのエピソードも、時にユーモアを交えつつ、実話ならではの臨場感と衝撃に満ち溢れている。
 しかし組織の腐敗とハイテク化が進み、ヒューミントが軽んじられ、現地で情報を得ても「衛星写真に映ってない」と一蹴されてしまう(笑)。CIAが9・11テロを察知できなかったのも納得である。
 と同時に、イラクにおける大量破壊兵器情報にCIAがどのように関わっていたのか、あるいは全く関与していないのか、組織の改革は進んでいるのか、いろいろと興味深い。
 最後のカスピ海石油利権を巡るエピソードが圧巻だ。映画「シリアナ」の原案となった部分であろう。映画も合わせてお勧めである。