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求愛 (徳間文庫)

価格: ¥660
カテゴリ: 文庫
ブランド: 徳間書店
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弘美の更なる活躍が見たい ★★★☆☆
主人公の弘美は翻訳を仕事にしているが、元恋人の妻であり友人の女性の死の真相を暴いてしまう。
いわゆる、連作短編ミステリーなのだが、主人公ははじめの事件の傷をいつまでも背負い、作品全てにその重みが流れている。
8つの短編、全て人の心に潜む闇を浮き彫りにし、良く出来ているが、全体を通して、主人公の弘美が自分の足で立ち、強くなっていく様子が見て取れる。
次第に、弘美のキャラクター、同僚の梶本のキャラクターが見えてきて、楽しくなってくるのだが、このキャラクターでの続編はないのだろうか?
弘美の成長、で一応ピリオドなんだろうか?だとしたらちょっと残念。さらに強くたくましくなって行く弘美を見てみたい。
物語自体が一話ごとに成熟する ★★★★☆
 8編の連作短編集。それぞれ独立しても読めるが、一冊通すと深みが増す。1話目でドタバタと殺人事件がおきる。登場人物各人の過去や人間関係がからまり、短編としては盛り込みすぎの感があった。2話目で更に殺人事件がおき、よくある安手の殺人事件ミステリー連作かと思ってしまった。
 しかし、主人公・弘美が、事件関係者の過去にこだわりを持ち、責任をもって真実に迫ろうとする。女性私立探偵の誕生と成長の、陰影を帯びた物語になっていく。そして、格調高い作品集に成熟している。特に「飛魚の頃」が美しい。海辺の観光みやげもののように、時間を逆さまにするとキラキラした欠片がゆっくり沈んでゆくようだ。物悲しく、中のキラキラには、外から触れることが出来ない。
 最終章の、人の中の純粋な動物性を、弘美が一面で肯定して見せた叙情も、ため息のような余韻に満ちている。
まあまあかな・・・・ ★★★☆☆
ほんのささいな、普通なら見逃してしまうようなできごとの中に、真実につながる糸が
隠されている。探偵の仕事は、そういう糸を見つけ出すことなのだろうか。職業的に、
人に嫌われることもある。また、探偵という職業に対して自己嫌悪になることもある。
美は、悩みながらもプロとしての心構えを身につけていく。事件やトラブルの裏側に
隠された人の心は、時にはせつなく、時には恐ろしく、時には悲しい。その描き方には
ちょっと物足りなさを感じたが、ラストの表題作の「求愛」の中で行われた仕掛け調査は
興味深いものがあった。まあまあの作品だと思う。