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砂漠の船 (双葉文庫)

価格: ¥720
カテゴリ: 文庫
ブランド: 双葉社
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現代の家族も、前代の家族も。 ★★★☆☆
篠田作品にしてはやや小粒。
しかし、現代の家族の心の隙間を良く描いていると思う。
いかにもいそうな、普通以上に家族の大切さ健全さを屈託無く表現する父。
家族のために自分を失いつつあることにうっすらとした不満を少しずつ、しかし確実に積もらせていく母。
クールで現実的だが自分を見つめることに実は一生懸命な娘。

次第に食い違っていく家族。そして団地の中の閉塞感。
このあたりはよく描いているが、ありがちとも言える。

新しいのは、その現代の家族と、父の親の世代の出稼ぎに出ていた両親の話を交錯させる部分だと思う。
出稼ぎで東京に出ていた両親の過去を子供がたどるというのも目新しかったし、
昔も今も団地や村に漂う「閉塞感」は変わらないのかと、思わせられる。
家族が抱える問題も、根本的には変わっていないのかも。
大好きな篠田節子なだけに、星3つとやや厳しい評価にしたが
悪くは無かった、と思う。(上から目線ですみません)
偶然に頼りすぎていないか? ★★★★☆
 出世を諦めて地域限定勤務を選んだ主人公の幹郎だが,不況の中で次第に追い詰められ,しかも,会社に対して有効な対応策をとることもできない。一歩一歩悪くなっていく状況は,自分がそんな目にあったらどうだろうかと胃が痛くなるような思いで読まされた。

 篠田節子は,「女たちのジハード」以来,大好きな作家の一人である。
 幹郎の情けなさは,「ゴサインタン」の主人公を思い出させられたが,篠田節子は,こういう情けない男を描写するのが本当にうまいと思う。また,出稼ぎや村八分など田舎の社会問題もリアルに描写されていた。
 ただ,本書のストーリー展開は,偶然に頼りすぎていないだろうか。娘がその死に関わった浮浪者が,実は両親にとって親しい間柄の男だったとか,墓参に行ってその親族に偶然出会い,話を聞けたとか。
 グイグイと一気に読ませる力技は健在ではあるが,ストーリー展開を偶然に頼りすぎているのではないかと気になってしまった点を考慮して,星4つにした。

お父さんの独り相撲 ★★★★★
お父さんの幹郎は、一人で熱くなっている。娘の茜の生き方や職業観に、他人から求められる仕事といった、自分の理想論を押しつけて何になるというのか。また、妻の由美子に対しても、単に夫婦だからという理由で、一緒に暮らすのが当たり前だと思っている。幹郎自身は気付いていないのかも知れないが、自分では努めて家庭的なお父さんになろうとしたものの、実は鬱陶しいお父さんになってしまっていた。それにしても、お父さんとは対照的な茜の冷めた感覚は、良くない意味で現代的と言うべきかも知れない。

本書で男の人生の後半部分の、不毛な生き様が描かれている。
親の死、リストラ、娘の心理的離反、妻の裏切り。

人生の後半部分とは、砂漠に放り出される様なものなのか?
世間ではありがちな事の連続だ。
けっして他人事ではない。

つい自分の人生を振り返ってしまう。
お父さんは独り相撲をとってはならない。
家族の中に潜む恐ろしさ ★★★★☆
家族のために最良の選択をしたと思っているのは幹郎だけだった。幹郎の思いは、かえって家族を息苦しくさせていく。だが、ほかにどんな選択肢があったというのか?幹郎に対し、男の哀れささえ感じる。
たとえ家族であっても、心の奥底に流れている本質までは見抜けない。幹郎の祖母や父母、そして妻や娘の心に隠されたものに触れたとき、そこには悲しみとともに言い知れぬ恐ろしさがあった。「はたして自分の家族は?」そう考えると心がヒヤリとする。
どうしちゃったのZ?篠田さん ★★☆☆☆
すべてが中途半端な説明で終わっていた。「家族を大事にしていた夫婦なのに、それが子供に受け入れられていなかった」というのがモチーフ。モチーフは悪くない。だがデティールの大ざっぱなことに口あんぐり。たとえば母親が高校生の娘の出入りする喫茶店に自分も入ってみる。それは娘を理解しようとしてのことか、それとも純粋に自分も興味があってのことか。もし前者なら、どのようにして自分を納得させたか。あるいはこの母は不倫とエクセルをマスターすること(仕事で必需)のほか自分の世界はないのか?第一40代後半の働く女性(早稲田卒となっている)がエクセルも扱えないないなんて、そんな設定おかしくないか?など篠田節子さん、ちょっと変よ状況認識が!