この物語は、一人の男の人生を、0才から99才まで神が語る。
まるで年表を読み上げるように。
ずるい私は、今の自分の年齢のページを最初にめくってみた。
主人公の方がスケールの大きい生き方をしていたが、考え方も、家族の状況も、私の今と同じ。
もっと若い頃の、道を踏み外した年齢もほぼ同じ。
湯水のように時間があると考えていることも同じ。
タイムマシーンで未来を盗み見るような、そんなドキドキした気持ちで、彼の老年期も読み進めてみた。
結婚し、子どもを持った結果、こんなにも幸せが、悲しみが、喜びが、未来には用意されていることを、具体的に私は知る。
老いて失うものと得るものがあることも知る。
ますます私は未来が楽しみでしかたなくなった。
『神との対話』を読んだことのある方なら、ちょっと意識したと思うが、この本の神の語り口と似ていることに気付く。
辻仁成もこの本が好きなのかも。