もしも
愛を永遠に維持させたいと願うなら
人間はまず愛する者に嫉妬をしないことを最初に自身に誓わなければならないだろう。

高校の先輩政野と自分の恋人ミノリが魅かれあっていると疑い始めた哲士。嫉妬が哲士を苦しめる。同じように嫉妬に苦しめられた政野の妻早希と「未来への復讐」を始める。・・・これは男性の夢だよなぁ。笑。ミノリは「美の天才」で、早希は「美の秀才」だよ。笑。哲士はものすごく苦しんでるけど、こんないい女二人に囲まれる人生、ありえないでしょ。そうは思っても、ミノリと早希が最後に選ぶ強さがかっこいい。この小説は、何年か前にドラマ化されてましたね。ミノリが本上まなみ、早希が川原亜矢子。原作を読むと、なかなかナイスキャスティングでした。

　四つ巴のぐちゃぐちゃとした愛憎劇なのだが、話が不自然で読んでいて阿呆らしくなってしまう。嫉妬ウィルスに至っては言及のしようもない。結末もいつものハッピーエンドをにおわせており、最後までがっかりである。ただ表現だけは辻仁成のよさが感じられる。

学生のような初々しい恋愛とは違う。けれど、過去の経験があるがゆえに、臆病になり、疑いを持ってしまうという、ある意味でひどく不器用な大人４人の病的な恋愛世界。彼らの行動から、恋とは？愛とは？ということを、まざまざと考えさせられてしまう。恋愛上で否応無しに生じてしまう、不安、嫉妬、独占欲、束縛感、憎悪、復讐、逃避の念。あえて、そんな暗がりに引き篭もりたくなったときに。。。

ものすごく感情移入できる作品でした。まぁ、私も主人公たちと同じような立場にたったことがあるからなおさらなのかもしれませんが…。人を愛すれば嫉妬するのは仕方のないものだと思うけど、そこから生まれる愛ってあるのかな？それって本物なのかな？愛って何なのかな？すごく考えさせられます。登場人物がとても人間らしく描かれていて、号泣するようなシーンはないけれど、常に泣きたくなるような切なさが流れています。

どうしても、登場人物に好感を持つことができません。自分に似ているところがあるせいかな？（私はこんなにもてませんけどね）

★をプラス２付けます。学生のような初々しい恋愛とは違うけれど、過去の経験があるがゆえに、臆病になったり、疑いを持ってしまうという、ある意味でひどく不器用な大人４人による恋愛の世界。彼らの行動から、恋とは？愛とは？ということを、まざまざと考えさせられます。恋愛上で否応無しに生じてしまう、不安、嫉妬、独占欲、束縛感、憎悪、復讐、逃避の念に頭からすっぽり捕らわれてしまう主人公達。その弱い心に従った選択肢に駒を進めてしまう彼らの行く末は？この作品がとても良かったので、辻仁成作品は他にも読んでみたいですね。

嫉妬という厄介な感情から生じる日常。恋愛の無秩序さと醜い部分、というか当たり前に生じる感情、先の見えなさに対する漠然とした不安とを丹念に書き出している。香りの表現が素敵。

ぜひ読んでみてください。

人の匂いも様々である。体臭．家庭臭．香水．お香．．．実は自分は嗅覚にはかなりの自信がある。なんとなく自分にあう香り．合わない香りというものがあると思う。人間対人間でも相性があるように．．．自分の好きな香りに違う香りが侵入する時．なんともいえない不快感を感じる。１度気になれば．それしか考えられないほど気になってしまう。嫉妬．．．それはそんなところから始まるのかもしれない．．