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海峡の光 (新潮文庫)

価格: ¥420
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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圧倒されて一気に読んだ!すごいの一言 ★★★★★
読まず嫌いというか、今回はじめて辻仁成の作品を読んだ。すぐに作品世界に引き込まれ、一気に読んでしまい、感嘆した。今まで読んでなかったことが口惜しい。

小説の舞台設定にまず心を引かれる。
青函連絡船の乗務員だった主人公・私(斉藤)が、連絡船の廃航を見越して、いち早く船を下り、函館の少年刑務所の看守になり、船舶訓練教室の副担当官になった経緯と、そこに現れた受刑者が、小学生の頃、私を執拗に苛めていた花井修であり、訓練のために海峡に出るという、場面展開など、作品世界に一気に引きずり込まれる。

花井に対する少年時代からの心の葛藤が丹念に描かれていく。
花井という人物がなぜそのような人格を持っているのか、と言うところは、読者の想像に委ねられているだけで、明らかにはされていないのが、残念なような、あるいは、だから、強く心に残ることになるのかもしれない……。

 
詩的な物語 ★★★★☆
最近詩的な小説を手にすることが全くなかった。
いわゆる、ビジネス本や、時代小説、推理小説、キャリア本等等、そんな本を読んでいた。
これは珍しく知人からもらった本である。
人から薦められる本と言うのは、全く未知のものである程おもしろい。
これはそんな本であった。

久しぶりに詩的な本を読んだ。一瞬の内に異空間に迷い込む。これが芥川賞系の本なのだと素直に感じた。はらはらどきどきではない。何か懐かしさを思い出させ、口では具体的には説明できない感情の喚起、これこそ芥川系だと思う。

正にこの本は芥川系の本道を行っている。芥川賞受賞作なのだから当然なのだが。
日常の生活からすっと離れる時間を持てる、そんな本であった。
港町函館を舞台とした人間の心の深層 ★★★★☆
つい先日函館旅行をして、作者の「函館物語」を読み、そういえば本作が家にあったと思い、再読した。時期や内容から観て、「函館物語」は本作の取材旅行記のようなものであったのだろう。青函連絡線・街中のバー・刑務所と隣り合わせの競輪場。本作に良く表されている。
本作は主人公斉藤の心の動きを丁寧に描いている。昔苛められた同級生の花井が、斉藤の勤務する刑務所(函館少年刑務所)にやってくる。そこから斉藤の心は揺り動くのである。その心の動きは「函館」の街と密接にリンクする。まるで街が主人公の心を動かしているようである。作者は主人公斉藤の心の動きを容易な言葉で丁寧に描く。読者である我々はその筆力のお陰で斉藤の心の動きが手に取るようにわかる。トラウマなんて手垢にまみれた言葉で表せない、もっと複雑な心内なのである。読者である我々はみんななんらかの斎藤の気持ちを心に抱いている。だから共感できるし、物語の中に入っていくことができるのである。
小説として完成されている ★★★★★
殆ど文句のつけようはない。北国の自然を描いた描写は濃やかでどこまでも美しく、「私」の心理描写は人間の弱さをスリリングなまでに表現している。完成度の高さは、近年の芥川受賞作の白眉と言えよう。「ピアニシモ」以来地道に続けた作家活動の集大成だ。「サヨナライツカ」などで見せたストーリーの陳腐さは微塵もなく、正直よくぞここまで、と唸らせられる。作家辻仁成はここに極まった。
文章が煌めいている ★★★★★
文句なしの芥川賞。
素晴らしい文章です。
でも、ふっと思いました。
今の若い人がこれを読んでどう思うだろうか、って。
携帯小説もいいけど、こういった作品も読んで欲しいですね。