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真の独立への道―ヒンド・スワラージ (岩波文庫)

価格: ¥588
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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偉大な魂の書 ★★★★★
この文庫本は117pとわりと薄めで、編集者(ガンディ)と読者(急進的な若者)との対話形式で書かれていて、中身は濃いものの、その濃さのわりには読みやすくなっています。
「人前だと話せなくなる」という落ちこぼれ弁護士だった若きガンディーは1年契約で向かった南アフリカに、結局21年間の長きに渡って滞在することになりました。イギリス支配下の南アでのインド人差別の問題と取り組むためです。
この本は、1909年(ガンティー40才)、まだ南アフリカでこの問題と取り組んでいた時期に書かれたものですが、すでに後のインド独立運動を支えた思想は彼の中で大きく育っていたことがわかります。
とりわけ本書で繰り広げられている「イギリス文明批判」は大変優れたもので、今でもじゅうぶん参考になります。
ガンディーの思想は目先の私利私欲にとらわれぬ大きさと拡がりと深さを持ったものであるため、しばしば「理想主義的過ぎる」等々と批判されてきました。
しかしそれは「大鳳を蜩や小鳩がわらう」荘子 第1冊 内篇 (岩波文庫 青 206-1)たぐいの的外れなものだと思われます。
世の凡庸な人物は、しばしば自分たちにとって都合の悪い相手を貶めるためにくだらないことを言うものです。
しかしそれは「蜩や小鳩の嗤い」であって、決して大鳳の本質的価値を貶めるまでには至りません。
もし、この本を読んでみて、その価値の大きさに気づいたとしたら、そして「そんなこと到底できっこない」と思わなかったとしたら、それはあなたが「蜩や小鳩」ではなく「大鳳」だということの証明になります。ぜひご一読を!!
深淵 ★★★★★
「インド独立の父」ガンディーが1910年に著した著作。編集者(ガンディー)と読者(急進派の若者)との対話という形式で西欧文明を批判すると同時に、インドの真の独立の在り方について議論する。

ガンディーの批判は、西欧の近代文明に囚われ、その価値観、言説体系を自ら内面化してしまっているインド人自身に向けられる。そのような状態を克服するにはインドは魂の力(サチャーグラハ)に目覚めることが肝要であるという。ガンディーに言わせれば、オーストリアからの独立を勝ち取ったイタリアや、西欧型近代国家建設に成功し国威を発揚させつつあった日本は模範にはなりえない。西欧文明に適応する形で主権国家としての体裁を整えようとしていたイタリア・日本方式ではなく、真の文明であるインドの自覚による自治と、西欧近代からの脱却こそが真の独立への道であるというのである。1910年の時点でここまで西欧近代を相対化、批判した上で、植民地主義の根幹が被支配者による、支配者文明の内面化にある点を看破しているところは驚嘆という他ない。このような知性を輩出しえたところにインド文明の懐の深さがあるのかもしれない。福沢諭吉の『文明論の概略』とセットでその文明観、西欧観を比較してみたいところ。
独立のための彼の思想 ★★★☆☆
彼が独立のために描いた思想が対話形式で書かれている。
彼は、自治とは私たちの心の支配であると説き、その鍵はサッティーヤグラハ(魂の力、慈悲の力)であると説く。

その国を思う気持ちと、ひたむきな精神を支えたものとはいったい何だったのであろうか。

ガンディー記念博物館の壁には

MY LIFE IS MY MESSEGE

と書かれていた。
彼の思想を理解したかったら、彼の人生を理解せねばならないであろう。
非暴力かつ非服従という困難な課題をいかにして彼は可能にしたのかさらに探求したい。

この書ではあまりそれが述べられていなかったことと、対話形式の質問に対する説明が回りくどいことがやや不満であった。
非暴力による抵抗 ★★★★☆
『インディアン・オピニオン』誌に掲載された、編集者としてのガーンディーと、読者の対話形式の議論が収録された一冊。

本書の中で、ガーンディーは近代的な西洋機械文明、そして医者や弁護士などの道徳的とみなされる職業を、逆説的に非道徳として全的に否定し、本来在るべき宗教的な精神をこそ持つべきだと主張します。また、サッティーヤグラハという所謂「平和的非暴力・非服従・非協力」の思想を展開し、イギリスによる支配からの真なる自治による独立の可能性を提示してゆきます。

一筋縄ではガーンディーの意見に同調しない対話者の青年の突っ込み所がなかなかに鋭く的を得たもので、それに対しガーンディーは基本的には巧く切り返すものも、たまに少々困惑したりしている様子も垣間見られます。個人的に、ガーンディーの思想は素晴らしく理に適っているとは思いましたが、リアリズムを超過して若干理想主義に陥っている傾向も感じました。サッティーヤグラハとは、自分の判断でやりたくないことは徹底してやらない、ということですが、何かハーマン・メルヴィルの短編『書記バートルビー』のバートルビーという人物を想い出してしまいました。法律事務所に雇われたものの、総てを否定し、最終的には何もしないで死んでゆくバートルビー。この短編はまさに、本書における近代合理主義を全否定したガーンディーの思想を小説化したようなものでしょう。ガーンディーとトルストイは直接的に関係があることは有名ですが、こうして見てゆくと、ガーンディーとメルヴィルという新たな精神的血縁の存在も、薄っすらと沸き上がってくるように思います。

確かに近代文明は悪しきものです。煌びやかな背後に無数の被搾取者がいるからです。しかしそういった矛盾の存在を全否定しては生きてゆく道がありません。だから、私的には、文明進化を許容しつつ、宗教的な恵みを内面に抱えて生きてゆきたいと思います。
快刀乱麻を断つ ★★★★★
ガンディーにかかっては、西洋文明など一刀両断にやられてしまう。
民主主義だって、
「多数意見を少数者が受け入れることは、神に背くもので、迷信です」
ガンディーが説いて回ると、暴動がおさまり、
ヒンドゥー・イスラム両教徒が和解したという。

なるほどガンディーが奇跡を起こせたとしても、
ガンディーを継ぐことは、実に難しい。