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21世紀 知の挑戦 (文春文庫)

価格: ¥480
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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立花隆の真骨頂といえば科学エッセイではないだろうか。彼の科学エッセイは最端の科学をわかりやすく、しかも社会にどのような意味をもたらしているかまで知ることができるのが魅力である。
『21世紀 知の挑戦』は1999年2月から2000年6月にかけて文藝春秋に連載されたものだ。この連載はTBSの20世紀を振り返るスペシャル番組「ヒトの旅、ヒトへの旅」に携わってきた立花が、決まった時間しかない番組で語り尽くせなかった内容を発表したいという思いから企画された。
「20世紀は科学の進歩によって牽引された時代」と立花は語る。誤解を恐れずに言うならば、科学が人類を変えた世紀でもあった。では、どのように人類が変わったのだろうか。そして来る21世紀、科学は遺伝子革命によって「ヒト」の概念をも変えようとしている。では、これから人類はどこに行くのだろうか。それが本書の最大のテーマである。
本書は「21世紀 若者たちへのメッセージ」と題した章で締めくくられている。これは国家公務員I種試験合格者に対する合同初任研修での講演「『科学技術創造立国』をめざして」と、総合研究大学院大学の入学式にあわせて行われた新入生むけセミナー「時代の区切り」という、日本のトップエリート予備軍に向けた講演をまとめたものだ。
講演で立花はエリートに向かって、「君たちは勉強できると思っているかもしれないが、君たちも含めて日本国民全体が科学技術に対する理解の程度が低い」と叱咤(しった)する。その叱咤は、科学にリードされる時代を生きる僕たちにも示唆深いメッセージになっている。科学嫌いを自認する方はもちろん、理科好きな方にもぜひ読んでほしい。一読することで、新聞の科学欄やバイオ・環境関連ニュースの理解度が変わるはずだ。(保坂昇寿)
興味深い本 ★★★★★
実に分かりやすくバイオの最前線を紹介した本です。
アインシュタインを先頭としたの物理主導の20世紀を踏まえて、21世紀をバイオと情報の世紀と位置づけ、2000年初頭のTBS放送のため世界中を取材した中から映像にしやすいバイオに関するものを解説したもの。
DNA研究から人類の、動物の、生命の祖先が私が学校教育で習った単細胞生物ではなく、35億年前に熱い水中で発生した好熱菌という古菌類から始めて、生物すべてが共通の祖先を持つという最近の研究を紹介したあと、遺伝子組み換えが実は安全な科学的療法であり、(すくなくとも化学肥料より遺伝子組み換え食品のほうが遥かに安全)、癌の研究が進むにつれて、かつては癌の原因と考えられていたP53(分子量53キロダルトンのプロティン)が、現在では実は抗癌物質であり、様々な危険な食物を食べながら人間に癌が発生しにくいのはP53を備えているためであり、癌の治療もP53の注入で行えることを指摘しています。
人のDNA解読は終わっていない(一人あたり60億の細胞一つ一つに30億のDNAが存在する)けれども、一つの遺伝子を注射のようにして組みかえるだけで、悪質な病気の遺伝は防げることを紹介しており、そうした医療技術も確立していることを説明しています。
しかも脳にまで話が及び天才マウスの実験の成功で、人の頭脳も改良しうることや、老いても脳は再生され続けていること、神経幹細胞によりあらゆる臓器や脳が再生可能なこと、
などに触れ、最後は生命と倫理に関する再生賛成派と反対派の論理を紹介しています。
「教養」とは何かを考える ★★★★☆
立花氏のハイテク称揚のについてはともかく、日本人の科学への関心の薄さを憂慮する点についてはまったく同感です。

「教養」とは古典や芸術についての講壇的な見識ではなく、今この現実を正しく捉えるために必須の知識であるはずです。とすると「科学」をどう捉えるかということを抜きにすることはできません。

えらそうな事を言いましたが、かくある私もついこの間まで科学に無関心な者の一人でした。「科学なんてつまらない」と、長い間科学忌避の態度を保持していました。いまでは自分の不見識をひどく恥じています。

とある選挙の際のことですが、候補者の方が街宣車にのって大声で「○○(候補者名)は、BSE、遺伝子組み換え食品に反対!」と叫んでいました。この候補者の方は遺伝子組み換え食品についての確たる科学的知識に基づいてこのようなことを言っていたのでしょうか。それとも単になんとなくネガティブなイメージがするから、あるいは世間に浸透しているネガティブなイメージに便乗しようと考えてのことなのか。この違いは重要です。

科学技術はいやがおうにも人間社会に甚大な影響を及ぼし続けます。科学が社会にどう関わるか、これは市民の一人ひとりが考慮すべき論題ですが、政策決定に関わる官僚や政治家の方々があまりに科学に知識がないでは困ってしまいます。有益な科学が根拠のない否定的イメージによって阻害されてしまうこともあるでしょうし、有害な科学が大手を振って世の中を行進しないとも限りません。かつて世界を席巻したあの優生学のように。

ともかく人々が科学に積極的に眼差しを注ぐことが私たちの社会の存続にとって不可欠のことであると思われます。本書はその足がかりになるでしょう。
理系からみると・・・ ★★☆☆☆
科学的に、おかしい記述が多いように思います
読むなら、立花氏を批判している他の本(立花隆先生、かなりヘンですよ―「教養のない東大生」からの挑戦状・谷田和一郎 著 など)も参考にしたほうがいいかもしれません。
著者は、「知識人」などとはいっても科学者ではなくジャーナリストであるということを忘れないほうがいいと思います
日本の危機 ★★★★☆
具体的な科学に対する記述はさておき、私が本書に驚いたのは、私が日頃、日本の科学に抱く印象と本書に記載されている事が全く同じである点だった。

著者が言いたいことは、最初の「サイエンスが人類を変えた」という章と、最後の「21世紀、若者たちへのメッセージ」に凝集されている。この二章を読むだけでも十分価値がある。

日本では、政界、官界の連中がほとんど科学に無縁な文系エリートであるために、多くのものを失った話、中学生に対する世界21カ国を対象としたアンケートで「理科が好きな割合」が、日本では20%強と世界最低であった点、科学は多くの害をもたらすと考える社会人は全体の15%だが、小学5年生では43%であるという事実は、日本の小学校では科学に対するとんでもない偏見が教えられているのではないかという分析などは、日本の全国民が危機感を持ち対処しなければいけないという自覚を促してくれます。
最近では若干改善の兆しがあるものの、世界に研究成果を伝える「英語」に対する取り組み方にしても同様の事が言えます。

まずは「サイエンスが人類を変えた」と「21世紀、若者たちへのメッセージ」の80ページを読んでみて下さい。きっとその間の章も読みたくなるはずです。

学力低下は立花氏自身かも... ★★☆☆☆
遺伝子組み換えの稿で、とても信じられないような
立花氏の個人的な期待と憶測による記述が気になる。
環境ホルモンへの恐怖をうたう氏の観点からは正反対の
遺伝子組み換え擁護。
事実を都合のいいところだけ斜読みした結果、こういう立場に
なったのでしょうか。
立花氏個人の思想を研究するにはいい書物かも...