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精神と物質―分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか (文春文庫)

価格: ¥570
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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  本書は立花隆による利根川進への20時間にわたるインタビューの集大成である。利根川がノーベル生理学医学賞を単独で受賞したのは1987年。この分野では単独受賞だけでも珍しいが、選考委員のひとりが「100年に一度の大研究」というコメントを発したこともあり、受賞後、日本のジャーナリストが大挙して押しかけた。しかし、いずれも初歩的な質問に終始し、業を煮やした利根川は一度だけ本格的なインタビューに応じることにした。その相手が立花隆だったというわけだ。

  とにかくおもしろい。ノーベル賞の対象となった研究「抗体の多様性生成の遺伝学的原理の解明」の内容がわかるだけでなく、さまざまな実験方法や遺伝子組み換え技術などのディテールが書き込まれているおかげで、仮説と検証を積み重ねて一歩一歩真理に近づいてゆくサイエンスの醍醐味が手に取るように伝わってくる。利根川が定説を覆す仮説をひとり確信し、文字通り世紀の大発見に至るくだりには思わず興奮してしまった。利根川の研究歴をなぞる構成で、運命的な出会いや科学者の生き方といった人間的な側面も興味深い。

  ワトソン、クリックによるDNAの2重らせん構造の発見に始まった、分子レベルで生命現象を究めるという分子生物学の飛躍的な発展は、物質から生命、精神へと自然科学の方向転換をもたらした。ヒトゲノムの解読もそのひとつだ。いずれは生命現象のすべてが物質レベルで説明できるとの予測すらある。本書は利根川の偉業とともに、人類の知の歴史における一大事件である分子生物学草創期のあらましを書き留めた記念碑的名著である。(齋藤聡海)

新しい発見がなされる最前線の臨場感 ★★★★★
現代日本の必読書にしてもいいぐらいの本だと思います。
この本に書かれている研究成果はある意味では古い成果だと思いますが、
利根川先生と立花先生が対談することによって、歴史における新しい成果が
創造される臨場感が、どういった過程を経るのかが理解できる。
日本では大げさに言われる学際的姿勢も科学史を考えれば、欧米の研究者たちは
日常的に行い、そのダイナミズムから中世から近代そして未来にかけて普遍的な体系を
構築しようとしている。そういったダイナミックな現場に一人の日本人が活躍する様として
この本を読むのもいいし、新しい成果が創造されるということはどういう偶然と必然と出会いを
経過するのかという観点からも読んでいいかと思います。それにしても最前線の現場にいるというのは
創造することにおいて有利かつ必要条件なんだなと再認識できました。
色褪せない。 ★★★★☆
立花隆氏のインタビューにより、利根川進氏のノーベル賞受賞に至るまでの研究および(1990年当時の)今後の展望が明かされている。
一般向けに丁寧な解説も加えられており、今日に至っても十二分に楽しめる内容。
インタビュー形式のおかげで利根川氏の人柄や研究者としての思想なども窺い知れるのも魅力的だ。
分子生物学を語る物語 ★★★★★
率直な感想として本当におもしろかった。
普段医学部の教育などで当たり前になされるDNAの分析方法の裏にこんな物語があったなんて思いもよらなかった。
利根川進さんの研究者としての歴史を対談形式で振り返っているが、
その豊富な体験談といい知識といい、
理系に所属する人間にとって非常に参考になる本である。
もう10年以上も昔の知見であるのに全く古臭い感じはしないし、
むしろ今の自分たちが学んできたことは科学の歴史なんだな、と改めて思い知らされた。
やや専門的に感じられる部分もあるが、非常に丁寧な解説が添えてあるので
分子生物学を学んだことのない人でも高校生物くらいの知識があれば理解できる。
読んで良かったと心の底から思える一冊だった。
抗体産生という神秘の世界を解明した人…。 ★★★★★
私がことさら自然科学分野に魅せられるのは、真実は一つしかない、ということです。この本は利根川博士がノーベル生理医学賞受賞のきっかけとなった抗体産生の多様性に関する謎解きが延々と立花氏との対談で繰り広げられるところが一番おもしろいです。下手な小説を読むよりスリリングであり、世紀の大発見には 運も必要だということ。何より、何気ない現象をするどく観察し、追求する科学者の姿が描かれていて読んでいて非常に興奮する書です。それと利根川さんの科学者としての真摯な態度。絶対に正しいんだ、と思えるまでデータを取るというところとか。なんにもましてびっくりしたのは高校時代は常識だったことが十数年後には、もはや常識ではない、ということ。私が生物を習った当時とは事情が大幅に異なり、この書を読むまで恥ずかしながら、利根川博士の受賞の理由がわからなかったのですが、ようやく納得しました。それからインタビュアーの立花氏はこういう難解な現象を一般人に理解しやすい形にまとめる名手ですね。
立花氏の非科学的な面が出た本 ★★★★★
 とてもおもしろい本です。
 特に,以下の引用文にみられる,立花氏の非科学的な見方,そして利根川氏の徹底した科学的な見方の対比がとてもおもしろいです。最近多くの若者が陥っているスピリチュアルな見方に対する正しい科学的な見方を教えてくれるものだと思います。
 (立花氏)「精神現象というのは重さもない、形もない、物質としての実体がないんだから、物質レベルで説明をつける意義があまりないと思いますが。」
 (利根川氏)「その幻って何ですか。そういう訳のわからないものを持ち出されると、ぼくは理解できなくなっちゃう。(以下略,本を読んでください)」