蝉の鳴き声と、スニーカーが草を踏みしめる音だけが、そこにあった。 高校で同じクラスの春人と叶太は、 漫才コンビを組んでプロデビューを目指している。 夏休み前のある日、叶太は「帆柱ケーブルカーに乗りに行こう」と 春人に提案をする。「呪いが『叶う』って変なの」 「そうかな」 しかし登山の目的はそれだけではない。 二人は一年前の夏祭り、屋台で手に入れた 「呪い」を持ったままだった。四百字詰め原稿用紙換算57枚の青春短編小説。