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下山事件完全版―最後の証言 (祥伝社文庫 し 8-3)

価格: ¥900
カテゴリ: 文庫
ブランド: 祥伝社
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矢板は黒い ★★★☆☆
亜細亜産業というのは初めて聞いた。下山国鉄総裁が謀殺されたつまり他殺であることは間違いないが。いったい誰が指示して実行したのかは異論錯綜して今もよくわからない。下山総裁謀殺、三鷹事件、松川事件が国鉄労働組合をターゲットにした三点セットの謀略とすればghqの諜報機関の関与が疑われるのは当然である。ghq諜報機関の了解がなければあんな大規模な謀略工作が成功するはずがない。私が興味を持ったのがシベリア帰りの読売新聞記者と現在もあるピアノ線会社の経営者が山形県天童市の同郷でどうも知り合いだったということ。このことに鋭敏な松本清張も感ずいて小説に書いている。推理するに読売新聞記者はシベリアから帰国時の諜報機関の面接でヒモがついた。読売入社も諜報機関の斡旋だろう。つまりスパイである。役割は情報操作である。つまり本筋からもっともらしい情報を出して逸らす、ciがよくやる情報操作である。下山を殺したのは特務機関だろ。
得も言われぬ日本の保守層の本質を言い当てていて、とにかく面白い ★★★★★
「下山事件」は戦後史最大のミステリーといわれる。松本清張が「日本の黒い霧」で米国の謀略論を展開したがいまだに謎だらけ。戦後史の忘れがたい事件のひとつだ。

本書は、自分の親族が深くかかわったという著者が、関係者のなまなましい証言をもとに従来の定説をくつがえしている。その追求の過程もミステリーなみに面白い。特に、よく言われるようにGHQではなく当時潜行していたCIAの関与によるものという指摘や、実行犯は満鉄や731部隊などの満州国関係者だという指摘も新鮮。

新たな視点の中核は、事件の動機に関することである。従来説は、国鉄合理化(大量馘首)や共産党壊滅を狙いとしたGHQの謀略というものだが、著者は国鉄民営化をめぐって利権を守ろうと暴走した日本の保守層が真犯人だとほのめかしている。

なかでも、三菱財閥が米国鉄道資本や金融資本と結託して民営化後の国鉄を支配しようとしていたという指摘は斬新。下山総裁は技官あがりの正義漢で、この路線に沿って汚職や不正利権を告発しようとしていたので消されたとも示唆している。米資本浸透に抵抗した保守層を支援したのが、その米国のCIA。この流れは、CIAの資金提供と鉄道利権を政治資金としてのしあがった岸(元満州国革新官僚)やその実弟の佐藤(元鉄道省長官)による親米政権につながっていく。

強烈な反共親米でありながら利権確保のためには外資や自由化に徹底抵抗するという得も言われぬ日本の保守層の本質を言い当てていて感慨深い。

誰が犯人とも言わず、多数の人々の複雑な思惑が交錯したあげくの暴走・偶発をほのめかす結末にかえって事件の深刻さとリアリティを感じさせる。とにかく面白い。
昭和20年代の日本 ★★★★☆
他の方のレビューにあるように、よい編集者がついて、もっと力量のある筆者なら、
素材を活かして、さらに確固とした構成で練られた本が出来上がっていたかもしれません。
それはさておいても、本書は本書で昭和20年代の日本を描きだしつつ、
そこに下山事件をおいてみせて、読ませられる本でした。
読み始めて、思いがけず一気に読み切ってしまいました。

最後、断定的に書ききるだけのものが著者には見つけられなかったのだとは思いますが、
やはり著者なりの結論をもっと端的に示して欲しかったなと
最後、ちょっと拍子抜けした面はあります。

白州次郎や昭和20年代の日本、そこから金と権力を掴みのし上がっていった人々の
本を次によみたくなりました。
こんな生き方はできない ★★★★★
先に書かれたレビューを拝見してびっくり。結論が単行本とは違うのですね・・。私はとても興味深く、面白く読めたのですが・・。
松本清張の「帝銀事件の謎」(しかも宮部みゆき版)で戦後の知識の無い自分にうんざりして、少しは興味を持たないと、と思い、書店で見つけて読み始めたのですが、小説のようで読みやすく、よくわかんない読者にもわかるように配慮が為されているように思います。初心者の私にはぴったりでした。
感想としては、この本に出てくる人は私とは違う人種なんだな、と。器が違う・・。今まで「清濁あわせ呑む」ということの凄まじさを理解できてませんでした。わかってはいましたが、すべての物事はどこかで繋がり、奇麗事で進むことはありえないんだなぁ。
戦中、供出された金や銀、宝石等の行く末が悲しかったです。私物化するなよう。
森氏の下山事件を先に読みました ★★★★★
森達也版から流れてきました。
下山事件は教科書でならったくらい、という私には森版も十分面白かったのですが
あそこでやめなくてよかった。柴田版を読んだ後には、森版はエッセイだったのか?と
思うほどです。

森版では結論までたどり着く前に著者が息切れするというひどい構成でしたが
こちらは、きちんと読者を納得させるだけの仮説(しかも新説)を提示してくれて
歴史ミステリーとしても陰謀説としても面白かったです。そしてかなり事実に近いのでは
ないかと思わせてくれました。事件からこれだけの時間が経っているので、真実だと
証明しろ、というのは厳しいかと思いますが、逆にこれだけ時間が経ってさまざまな
ジャーナリスト・小説家が題材にしつくしたテーマで新説を持ってきた実力に
感動です。時間が経ったからこそ書けたのかもしれなませんが、時間が経てば証言者も
減りますし 著者のいうとおりこの時期を逃したらこの説は誰も発表できなかったのかも
しれません。

当初は、それでも森氏のほうが文章はうまいな、次へ次へとひきつける文章の
書き方ができているなと思いましたが、途中から柴田氏の筆ものりはじめ、また
事実や仮説のおもしろさで後半一気にひっぱられました。ただ、前半がやや
退屈なのと人名や事件が次々出てきてわかりにくいので、全く事件をしらない人にとっては
「どういう事件で」「誰が登場して」「当時世間ではどういう風に扱われたのか」が
わかりにくいかもしれません。それを知るための準備として 森氏の【下山事件】を
準備運動的に読むと楽になると思います。