小三治の噺にはそれに加えて、噺の導入部(いわゆる「まくら」)がとびっきりに面白いというおまけがついている。彼が生まれもった生真面目さと明晰な頭脳による緻密なストーリー構成をもってして、延々と長時間繰り広げられるまくらは、もはやひとつの新作落語であり、落語家であるまえの人間・小三治がつくりあげた新たな話芸のスタイルだ。
本CDは、「玉子かけご飯」、「駐車場物語」の2編からなる。とくに後者は40分におよぶ大作(!)で、小三治まくらの最高傑作のひとつ。
趣味のひとつであるオートバイ(余談だが、小三治は多趣味で有名)に乗ることができなくなった。。というところから始まり、駐車場を占拠する謎のホームレスの登場、着々と住居(笑)としての体裁をととのえていく駐車場、、最後には思いもよらないサゲにつながっていく。
私は自動車の運転中に本CDを聴いていたのだが、サゲのところでは、あまりの爆笑と涙とで目の前が見えなくなり、困ってしまったというくらいの、絶対オススメの1枚です。