ブルジョア階級の方々の悩みが何となく分かります!
★★★★☆
題名が「夜会服」という現代では耳慣れない言葉であるが、本小説によるとブルジョア階級などの人々が夜な夜な催される交流パーティに参加するための服装を指す。
そしてストーリーは、そのブルジョア階級の交流パーティの常連である未亡人でヒステリックな滝川夫人、万能で贅沢な悩みを持つ滝川夫人の息子の俊夫、その結婚相手となる絢子の3人が織り成す、夜会服の世界を中心にしたゴタゴタ劇だ。
滝川夫人と俊夫の個性が強すぎ、そんな彼らに翻弄される絢子の視点で物語が進むため、絢子の個性がちょっと物足りないと感じた。
しかし、三島ならではの皮肉めいた機知あふれる書き方で、ブルジョア階級だからこそ抱える問題が展開されていくため、面白可笑しかった。