本書は、イギリスロマン主義の巨匠 ウィリアム・ターナーの作品22点を集めた作品集です。理髪店の息子として生まれたターナーは、32歳にしてロイヤル・アカデミーの教授に就任するなどの成功をおさめます。流れる空気をダイナミックに描き、光を波長順に分解して捉える作風は、印象派の形成に大きな影響を与え、年齢と共に、特徴的な色彩感覚は更に磨きがかかり、より抽象的な作風へと変貌していきます。どうぞ、ターナーの描く魅惑の世界を存分にお楽しみください。


目次

　解体されるために最後の停泊地に曳かれてゆく戦艦テメレール号
　ミノタウルス号の難破
　雨、蒸気、スピード－グレート・ウェスタン鉄道
　トラファルガーの戦い
　タブリ・ハウス-准男爵 J.F.レスター卿の屋敷、風の強い日
　赤と青、海の入り日
　吹雪のアルプス
　ブルーリッジ
　ノラム城・日の出
　虹
　コニストン高原の朝
　カルタゴを建設するディド
　ポリュフェモスを愚弄するオデュッセウス
　宵の明星
　ヴェネツィアを描くカナレット
　古代ローマ、ゲルマニクスの遺灰を持って上陸するアグリッピナ
　平和―水葬
　戦争―流刑者とあお貝
　ヴェネツィア、税関舎とサン・ジョルジョ・マジョーレ
　夜間に積み込みをする石炭船
　モンブランの見えるサヴォワ地方のボンヌヴィル
　蒼白い馬に乗った「死」の象徴