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米西戦争 (山崎雅弘 戦史ノート 19)

価格: ¥0
カテゴリ: Kindle版
ブランド: 六角堂出版
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今から115年前の1898年、カリブ海に浮かぶキューバと、西太平洋のフィリピンを舞台に、新旧の覇権国家が全面衝突する戦争が勃発した。米西戦争(アメリカ=スペイン戦争)である。

この戦争により、かつて中米および南米の大部分を征服した旧帝国スペインは没落が決定的となったが、この大物役者と入れ替わりに国際社会の中心へと躍り出たのが、新たな覇権国家アメリカ合衆国だった。アメリカはこの戦争をきっかけに、北米大陸から海外への政治的・経済的進出と、それを可能にする海軍力の増強に邁進し、約40年後には広大な太平洋を挟んで、日本と熾烈な総力戦を戦うことになる。

19世紀の終わりに覇権国家としての第一歩を踏み出したアメリカは、それから一世紀をかけて敵対勢力を一国また一国と順に打倒し、100年後の20世紀末には世界最強国としての地位を不動のものとした。つまり、米西戦争は現在のアメリカが「突出した軍事力を備えた覇権国家」に君臨する最初の礎となった、軍事的にも政治的にもきわめて重大な意味を持つ出来事だったのである。

それでは、旧帝国スペインと新興勢力アメリカは、いかなる理由で対決するに至ったのか。そして、アメリカ合衆国は米西戦争をどのように戦い、その結果として彼らは何を獲得したのだろうか。

本書は、アメリカが覇権国家として歩み出すきっかけとなった米西戦争の発生原因と経過を、コンパクトにまとめた記事です。2008年7月、学研パブリッシングの雑誌『歴史群像』第90号(2008年8月号)の記事として、B5判15ページで発表されました。この戦争はまた、アメリカが「リメンバー・××(××を忘れるな)!」というキーワードで国民の戦意を鼓舞した最初の戦争としても知られています。

人々の「不安」や「正義感」、あるいは「被害者意識」を刺激して、特定の国家や民族、社会集団や個人に対する敵愾心を煽り立て、それを政権の支持率や組織の結束力、新聞・雑誌の売上、テレビ視聴率などの「上昇」に結びつけようとする技法は、政治体制の違いを超えて、現在でも世界各地で当然のごとく行われており、ある種の普遍的な「人心誘導の定番的テクニック」として、我々の生活にも無視できない影響を及ぼしています。

米西戦争の勃発に至る時期の、米国内におけるメディアと世論の関係は、こうした人間心理の「弱点」を何者かによって巧みに衝かれた時、大衆はいとも簡単に、目前に迫った戦争を全面的に支持し、それが「正しい行動」だと信じてしまうことを、後世に生きる我々に教えているのです。