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イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策 1

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 講談社
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国際政治を理解するための必読書 ★★★★★
アメリカ外交におけるイスラエルロビーの影響力の大きさについてはこれまでも様々なところで指摘されてきたが、本書のような本格的な学術研究は極めて稀だった。それこそイスラエルロビーの強烈な反発に遭うためである。従って、本書のような作品が出版されるだけでも驚きなのに、筆者2人が国際関係論の世界を代表する重鎮と来ている。また、この筆者2人はともにいわゆるリアリズム学派だが、実際の見解は対照的であるとされており、そんな2人が共著を書いたというのも私にとっては驚きだった。

本書は今までダブー視されていたイスラエルロビーについてこれでもかと言わんばかりに丹念に丁寧に分析している。ややくどく感じてしまうほどである。この巻はイスラエルロビーはどのような団体で何をしているのかを説明したものである。イスラエルロビーについては有名でありながら実態についてはそれほど知られていないので、その影響力の凄まじさを見せつけられた思いである。中でも、米国の連邦議員の海外視察先の実に1割がイスラエルとなっているというのは異常としか言うほかない。また、連邦議員がイスラエルについて知りたい場合にまずコンタクトをとるのが行政機関やシンクタンクではなく、イスラエルロビーであり、イスラエルロビーが時には議員の演説の下書きまで行うという事実にも驚かされた。

米国政府の猟官制度は、政治主導のモデルとして日本のマスコミ等では肯定的に評価されるケースが多いが、本書を読むと猟官制度はイスラエルロビーによって徹底的にしゃぶり尽くされている気がする。このような制度の下では公正な行政など行えないのではないかと思う。まして、連邦議員の選挙に対するイスラエルロビーの介入はさらに露骨であり、連邦議員によるイスラエル批判は考えられなくなっているという状態は、我々には想像もつかない。イスラエルロビーは、言論の自由と民主主義という米国の価値観をも揺らがせてしまっている大問題であることを本書は明確に論じている。
米国の対イスラエル&中東政策に対する疑問が氷解する ★★★★★
 アメリカの中東政策を白日の元に曝した一冊です。国や主義を超えて一般人の
素朴な疑問である・・・

・何故にアメリカは(世界から反感を買ってまで)イスラエルの側につくのか?
・何故にアラブ強硬派と話をしないのか?
・そもそもの話、アメリカ−イスラエルの同盟はアメリカの利益になっている?
・イスラエルが彼の地で行っていることは、彼らが有史以来あちこちで、自分
 たちが受けてきたことと同じではないのか?他人の痛みはより理解出来るのでは?

 ・・・なんてことを数々の証拠を元に(それも公になっているものの方が
割合として多い)喝破しています。

 決してこの本はイスラエルの生存権を認めていないものではありません。
ユダヤ人の辛苦の歴史も十分認識しています。

 なのにこの本はアメリカでは無視されています。いや、それ以前の問題です。
「自由の国」を国是にしているにも関わらず、この本は公にならなかったのです。
(この本の底本になった論文はイギリスで発表された)

 上巻の中身は乱暴に書けば以下の通りです。

・イスラエルはアメリカを必要としていても、アメリカはそうではない。
(イスラエルへの最大援助国はアメリカ。とは言え、イスラエル軍と組んで
 何かを行うことは、アラブ穏健派の立場を悪くするので出来ない。結局、同盟
 の意味が無い)

・イスラエル(とそこに住むユダヤ人)が善、アラブは悪・・・ではない。
 さらにアメリカの世論で一定の割合を占めている「道義的な理由」で
 イスラエルを援助しなくては・・・という理由も実は幻。

・そもそもイスラエルロビーとは何なのか?
 とてつもない一大勢力を想像するが、実は組織ごとに見れば他のロビー団体と
 変わらないのだと。違うのは財力と、有事の(各団体で調整を行う訳では
 無い)連体力に優れている。

・そしてその力を持って政界に圧力をかけ、またマスコミや学会への圧力に
 より、世論を誘導する。
 興味深いことに、普通のアメリカ人も対イスラエル政策には1/3から半数の人が
 反対している。

 寝食を惜しんで読む価値のある一冊です。
最強の国の脆い一面 ★★★★★
 以前から「なぜ米国はあんな得にもならない中東政策を採り続けるのか」と疑問に思っていたが、それがすっきりと氷解した。本書では、けして多数派ではない一民族が、アメリカの意思決定を事実上支配する様子が描かれる。
 連邦議員は常にイスラエル支持を求められ、応じなければ対抗馬に大量の資金とメディアによる賛辞が加えられる。議員となった後も、少しでも意に沿わない発言をしようものなら強力な圧力に晒される。これはアカデミズムの世界も同様で、職を失うリスクのせいで、自由な議論は影を潜める。民主も共和も関係ない。イスラエル関係の議案は、党派の垣根を越えて議員の意見が集約されうる数少ないテーマだ。こうして、「常に無条件のイスラエル支持」が生まれることになる。ブッシュやクリントンは歴代大統領の中ではむしろ中立派だったものの、議会の横断的圧力にさらされ、徐々に政策をシフトせざるをえなかった。それがレバノン侵攻、イラク開戦、シリア、イランとの対決路線につながったのだ。
 重要なのは、これら歪んだイスラエル支持政策がアメリカはもちろん、イスラエルの利益にもつながっていないこと。強引な植民地政策と強硬路線は周囲との軋轢を生み、終わりの無いテロの温床となってイスラエルを圧迫する。そしてそれを支援するアメリカは、世界中から憎悪を集める。本書はすごく遠まわしであるが、9.11テロについても、イスラエルロビーが無ければ発生しなかっただろうと推測する。
 ボリュームのある大著であるが、充実した良書。これがアメリカ人から出てきたことは、今後の変化を意味するのか(国内での出版は断られ、初出はイギリスらしいが)。今後に注目だろう。しかし、アメリカという最強の国家は、開かれた民主主義国であるがゆえに、うちなる敵に対してはこれほどに脆いものなのか。僕が懸念するのは中国人だ。数と豊かさと結束力を持つ彼らがこの先、アメリカの意思決定を握る可能性はけしてゼロとはいえないだろう。
何が外交政策を決定するのか? ★★★★☆
 本書の論旨は、ユダヤ人ロビーがアメリカの中東政策を大きく歪めており、そのような政策はアメリカの国益から乖離している、というものである。この種の議論はアメリカではタブーに近いものであり、また学術的にも検証されてこなかった。しかしウォルト、ミアシャイマーというアメリカを代表するリアリストの国際政治学者がこのような書籍を発表したことは、アメリカで大きな反響を呼んだ。国際政治学者として著名な二人が敢えてこのような本を上梓したことは、勇気のいることであろうが、それ以上にこのような提唱をせざるを得なくなっている、アメリカの知識階層の危機感が読み取れる。ただし訳に若干難があるので星4つとしたい。
タブーへの挑戦 ★★★★★
先ず、アメリカのタブーに果敢に切り込んだ勇気に感動しました。出版後、イスラエル・ロビー側からの執拗な脅迫・嫌がらせがあったことでしょう。そして、この本の出版によって、アメリカがどのように変わるか、或いは変わらないのか?大変興味のあるところです。

イスラエル・ロビーがアメリカでこれほどの力を持っているのは、ユダヤ系アメリカ人の財力、その寄付に拠っています。要するにお金の力で議員を動かし、マスコミを動員し、大統領を動かして、アメリカの政策をイスラエルよりに偏らせています。その組織力は大したものです。アメリカはイスラエルの属国ではないのか?アメリカの大統領はシャロンなのではないか?と思わせるほどです。しかし、その組織力に比べて、政策立案能力は大したことがないのかも知れません。彼らの推す政策はアメリカの利益を損ない、イスラエル自身の利益にもなっていないと筆者達は見ているからです。私の目にもイスラエルは武力に頼りすぎて、対等な立場での外交を疎かにしているように見えます。

そして私が興味を持ったのは、イスラエルの手口が中国の手口と共通点が多いことです。恐らく中国はこの本を教科書として、アメリカにチャイナ・ロビーを作り、中国現政権の利益を増そうとするに違いありません。そしてその時わが日本は?多分、ただあれよあれよと状況が悪化するのを見守るだけで、何も対抗手段を打とうとしないのでしょうね。大変残念なことです。