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米軍のアフガニスタン戦争 (山崎雅弘 戦史ノート)

価格: ¥0
カテゴリ: Kindle版
ブランド: 六角堂出版
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2001年9月11日、全世界に大きな衝撃を与える歴史的な大事件が、アメリカで発生した。同国の経済的繁栄のシンボルとも言うべきマンハッタンの超高層ビル「世界貿易センター(WTC)」の二棟が、何者かにハイジャックされた民間旅客機二機の体当たり攻撃によって次々と崩壊し、さらに世界最強の軍事力を誇るアメリカ軍の総本山であるペンタゴン(国防総省ビル)に対しても、同様の攻撃が実行されたのである。

時の米大統領ジョージ・W・ブッシュは、間もなくこの連続的な攻撃を「イスラム過激派組織アルカーイダの首領ウサマ・ビンラディンによる無差別テロ」と断定し、身柄の引き渡しをアフガニスタン政府に要求した。当時のアフガニスタンでは、いわゆる「イスラム原理主義」の理念に基づく宗教的政治結社「タリバン(ターリバーン)」が政権を握っており、志に通じるところのあるビンラディンを「客人」として国内に迎えていた。

そして、タリバン政権が彼の身柄引き渡しを拒絶すると、米政府はビンラディンとアルカーイダに活動拠点を提供するアフガニスタンを「敵国」と見なし、全面的な報復攻撃の準備に着手した。同年10月、アメリカとその同盟国によるアフガニスタンへの総攻撃が開始され、以来10年の長きにわたって、中央アジアのイスラム教国アフガニスタンは終わりの見えない戦争状態に置かれ続けている。

米政府は、このアフガニスタン戦争を全地球規模での「対テロ戦争」の一環と位置づけており、2008年に大統領がブッシュからバラク・オバマに替わった後も、基本的な戦略方針は継承されている。だが、開始から10年が経過した今、戦争開始から現在に至る経緯を振り返ると、アフガニスタンで続いてきた戦争の内情が、事態の推移と共に少しずつ、しかし最終的には大きく、変質してきた事実が浮かび上がってくる。そして、戦争が長引くにつれて、一般のアメリカ国民が予想もしなかったショッキングな問題が、次々と表面化していくことになる。

キューバのグアンタナモ収容所などで発生した、タリバンおよびアルカーイダの「捕虜」に対する米軍の虐待行為、米軍から民間軍事会社(PMC)への戦争遂行の「外注」、米軍の無人攻撃機(ドローン)の実戦投入と相次ぐ誤爆の発生、即製爆発装置(IED)を用いたタリバンによる米軍および民間車輌に対する攻撃、そしてアフガニスタン人の女性や子供による、米軍と新政府を標的とする自爆攻撃などがそれである。そして、一時は勝利を確実視された米軍は、現在では大国の「面子と威信」を保ちつつ、アフガニスタンからの撤退を行う道筋を慎重に歩んでいる状態となっている。

本書は、今なお続く米軍のアフガニスタン戦争の開戦経緯と戦況の推移、そしてこの戦争が国際情勢に及ぼした影響を、コンパクトにまとめた記事です。開戦から10年目に当たる2011年9月と11月、学研パブリッシングの雑誌『歴史群像』第109号(2011年10月号)と第110号(2011年12月号)の記事として、前編・後編の2回に分けてB5判計22ページで発表されました。

2001年に圧倒的な軍事的勝利を収めたはずのアメリカ軍はなぜ、現在もなお、アフガニスタンで決定的な「勝利」を獲得できずにいるのか。「9・11事件」以降、アメリカがアフガニスタンで進めてきた「対テロ戦争」は、この10年間でいかなる問題に直面し、今後どのような方向へと進むのか。未だ完全に収束する見通しの立たないこの苛酷な「対テロ戦争」の実情とその限界について、10年という節目における大筋の総括を通じて、理解を深める一助となれば幸いです。

なお本書は、通常記事2本を1冊にまとめた構成で、価格が250円となっています。