■本書の紹介

　本書の旧版である「精神病院の勤務者が教える 自分でできる心の治療１０ステップ」が最初に出版されたのは２０１４年。そこから時間が経つにつれ、世間の状況も医療技術も変化してきました。それを踏まえ今回、旧版の内容を大幅改定、図表も全て更新し、新たな本としてリニューアルしております。

　私自体、精神病院に勤務しておりますが、未だ精神病院に対する心理的抵抗は大きく、気軽に受診を薦めることができないのが現状です。精神疾患があると診断されること自体に難色を示す人も少なくありません。

　病院は専門知識を持ったプロ集団ですし、よく効く薬を使った治療も可能なので、医師に頼ることは、早急に病気を治したい人に最適な選択です。しかし医師も万能ではありません。多く患者を抱えれば１人に使える時間は短くなります。また昨今の経済情勢から、収入に見合わない出費、すなわち治療行為は難しい場合もあります。

　そういったリスクも踏まえ、本書は「病院に行く程ではないけど……」というレベルの方が、病院に行かずとも病を治せることを目標に作られました。

　心の病は、通院しなくとも正しい知識を持ち、適切な行動を行うことで治療できるケースがあります。これは病を患った本人で行える治療です。（少しだけ難しい言葉を使うと、本書では認知行動療法という治療方法に、経験上有効だと思えた要素を加えた内容を説明します。）

　病院に行くのは抵抗があるし、病院でうつ病と診断されるのも嫌だし……。病院受診する前に、自分で出来る治療方法があるなら……。１回の診察料よりずっと手軽に試せるなら……。

　そんな風に思っている方がいるのなら。本書はきっと、お役に立てると信じております。

■本書はこんな方にオススメです
* 最近気分が落ち込んでいる（うつ病かもしれない）
* 人前でアガってしまい大変だ（社会不安障害、パニック障害かもしれない）
* 精神病という程では無いが心の病かもしれない
* 精神病だと思うが治せるなら頑張って治したい
* 病院には行きたくない