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手紙

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: 毎日新聞社
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   本格推理から学園ミステリー、パロディー小説や絵本など、さまざまな作風で読者を魅了しつづける著者が、本書でテーマに据えたのは、犯罪加害者の家族。犯罪が、被害者や加害者だけではなく、その家族にまで及ぼす悲しい現実を見据えた意欲作である。殺人犯の弟という運命を背負った高校生が成人し、やがて自分の家族を持つにいたるまでの軌跡を、大げさなトリックやサスペンスの要素を用いることなく、真正面から描ききっている。

   武島直貴の兄・剛志は、弟を大学に入れてやりたいという一心から、盗みに入った屋敷で、思いもかけず人を殺めてしまう。判決は、懲役15年。それ以来、直貴のもとへ月に1度、獄中から手紙を送る剛志。一方で、進学、恋人、就職と、つかもうとした人生の幸福すべてが「強盗殺人犯の弟」というレッテルによって、その手をすり抜けていく直貴。日を追うごとに、剛志からの手紙は無視され、捨てられ、やがて…。

   1999年に刊行された『白夜行』以降、著者は『片想い』 『トキオ』など、連載小説という発表形態を通じて、読み手を飽きさせないだけのストーリーテリングの実力を確実に身につけてきた。新聞連載された本書も、バンドデビューや窃盗事件などの出来事を積み重ね、そのつど揺れ動いていく直貴の心の危うさを巧みに演出しながら、物語を引っ張っていく。しかしながら読み手は、たえず居心地の悪さを感じずにはいられないだろう。なぜなら、直貴に向けられる差別は、私たち自身の中にも確実に存在するものだからである。「差別や偏見のない世界。そんなものは想像の産物でしかない」と言い切る直貴の言葉が、ずっしりと心に響く。(中島正敏)

すごすぎる ★★★★★
映画を観ていたが、間違えて借りてしまい、そのまま読み進めた。
映画を観ていたせいで、読書は気楽に割りと早くできたが、はっきり言って、本書の方が映画よりもぜんぜん深かった。
東野さんってすごいですね。どんな人生経験をしてきたら、こんな小説が書けるんだろう。。
犯罪加害者家族の差別に関する内容だけど、差別というワードのつくあらゆることに通じる、根源的な内容を問いかけいたように感じた。
被差別者と感じる人間が陥りやすい思考にメスをいれ、かなり冷淡に「社会性」をキーワードに論じていっている。
私が特に感動したのは324ページの次の一節。
 「自分の現在の苦境は、剛志が犯した罪に対する刑の一部なのだ。犯罪者は自分の家族の社会性をも殺す覚悟を持たねばならない。そのことを示すためにも差別は必要なのだ。未だかつて直貴は、そんな考えに触れたことさえなかった。自分が白い目で見られるのは、周りの人間が未熟なせいだと決めてかかっていた。これは理不尽なことなのだと運命を呪い続けていた。
 それは甘えだったのかもしれない。差別はなくならない。問題はそこからなのだ。そこからの努力はしてきただろうかと考え、直貴は心の中で首を振った。いつも自分は諦めてきた。諦め、悲劇の主人公を気取っていただけだ」
 以上、長い引用になったが、改めてみても私の心を打つ。差別という言葉を被差別者が発すること自体、僕は敗者の弁な気がする。直貴に社長が問いかけたように、社会性の絆を一つずつ自分の力でつむぎ直す作業せずして、「差別」という言葉は、被差別者にとっては、何も意味をなさない。単なる「諦め」「弱音」「敗北」の言葉でしかない。本書を読んでそう感じた。東野さんの本題とは違うが、こういう読み方もあったと感じてもらえればうれしいです。ただ。本書は、名著だと思う。東野さんの本を始めて読んだのので、ほかの本も読んでみたいと思った。
翻弄。 ★★★★☆
個人的には、兄が金を切望し強盗に至るまでの心理描写がより欲しかったのと、終末が、で、どうなるのですか??という終わり方だったのでその2点が物足りなく感じました。ですが、物語り全般を通して犯罪者本人ではなく、その弟に焦点を当て、犯罪者の身内として世間の風当たりにさらされ生きてゆく様子が切々と描かれていく。どんなに兄の存在を隠し、真面目に誠実に生きてゆこうとしても、いつもどこからかその存在が明らかになり、自分の夢や希望を取り上げられてしまう。読んでいても救われない気持ちで一杯になりそうになるが、夢を一緒に追いかけた寺尾や、いつもどんな時の彼であっても一緒にいて励まし、最後には家族となった由実子、と少数ではあるが周りの境遇ではなく直貴自身を見てくれる存在があったことに感動します。社長の言葉については賛否あるようですが、私は何が言いたいのか、どうしてそういうことが言えるのか疑問であり、よくわかりませんでした。
手紙の意味 ★★★★★
DVDも見たけど、本の方が感じるものが多くて全然感じ方が違った。
手紙ってのはただ自分の気持ちを文字に書いた紙ではない。

人権や差別についてもこの本から感じることが多かった。
差別を避けて生きていくのではなく、差別は当たり前でそれを含めた罪を
受刑者は受けなければならない。残された受刑者の家族はそういうもの。

情景がこの本から切々と感じられ、食い入るように呼んでしまった。
寝る前に読んだら寝れなくなります。
期待損 ★★★☆☆
おもいっきり泣きたくて、選んだ本でした。

初めのうちは、興味をそそられる様な話の展開で次はどうなるのか、その次はどうなるのか・・・
とワクワクドキドキしながら読みました。

が、最後の結末だけが、なんだか物足りなく・・・「えーっ!もったいない!こんな感じで終わり?」と、がっかりしてしまいました。
期待しすぎると、私のような感想になってしまうのでは無いでしょうか。

期待しすぎないと、満足できると思います。
水分補給必須です。 ★★★★★
涙もろいので、しょっちゅう何かを観たり
読んだりして泣きますが、体が震えてページを
めくる前に勝手にその内容を想像して、
声を出して泣いてしまったのは
この本が初めてでした。
この物語のキーはタイトル通り手紙ですが、
ラスト、確実にこの『手紙』に
心揺さぶられます。

正直、途中まではなんの罪も犯していないけれども、
犯罪者の弟ということで彼に降りかかる
切ない結末は仕方ないだろうと感じていました。
ここで描かれている社会が彼に対してしてしまう
過剰な接し方も仕方のないことで、それでも
認めてくれる友人はいるし、
彼は人に恵まれているじゃない、
と感じていました。

でも弟は腑に落ちていない。
自分だって正々堂々生きる権利はあると
思い、頑張っている。
そしてそんな彼に社長の言葉が彼に降りかかる……。

この社長の言葉は東野圭吾の心情だと思えてなりませんでした。
耳が痛いほどの現実でずっしりと心に響いてきました。
罪を犯すことは社会的な死を選ぶこと―。

犯罪が繰り返されているこの世の中で
このお話しはある意味身近であり、
とても生々しかった。
最後の最後の一文は泣いてるのに
さらにさらに追い討ちかけるように泣かされます。
さすが評判通り。
名作です。