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天狗風 霊験お初捕物控(二) (講談社文庫)

価格: ¥820
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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人の心の不思議さ・・・ ★★★★★
その風は天狗風と呼ばれた。その風が吹いたとき、娘が神隠しにあったように忽然と
姿を消した。不思議な力を持つお初は、右京之介とともに姿を消した娘たちの行方を
追うが、得体の知れない何者かがふたりの前に立ちはだかった・・・。霊験お初捕物控2。

文庫本で564ページ。怖ろしく長い作品だが、構成力がとてもよく、長さをまったく
感じさせない魅力ある話の展開になっている。次々に行方不明になる娘たち。そのときに
吹く不思議な風の正体は?お初と右京之介がしだいに真相に迫っていく様を、息詰まる
ような気持ちで読んだ。また、登場する人たちの描写もていねいで、読んでいるとその
人物像がくっきりと浮かび上がってくるようだった。
この世の中、怖ろしいのは妖怪や幽霊などではない。人の心や、人の思いから作り出される
怨念だ。そのことをいやというほど思い知らされた。人は、仏にも鬼にもなれる。そのきっかけは
ほんの紙一重の差しかない。だが、人が作り出した怨念を鎮めるのも、また人の心なのだ。
そこに「人の心」の不思議さを感じる。ラストもよくまとめられていて、読者の期待を裏切らない
ものになっている。特に最後の10行はほっとして微笑まずにはいられない。一気読みしてしまう
ほど面白い作品だった。
ファンが多いのに納得できます ★★★★☆
捕物帳+超能力+オカルト
「天狗風」では内側に暗い部分を抱える人間の深層心理に踏み込んでいきます


嫁入り間近の娘が神隠しに会う事件が続発

自分の美貌にしか目を向けず、不幸のうちに亡くなった女

奉行
どうやらこの天狗は、いつまでも若く美しくありたい、そうして現世でそれを享受したいという思いが凝り固まって生れた妄念の化け物であるようではないか。では、そういう妄念を抱く亡者に魅入られ、憑かれ、足場として操られてしまう娘さんとは言えば、どんな娘さんであろうな?

右京之介
むしろとても地味で姿形に自信のない娘、しかもそれでいて女子は姿形の美しさにこそ価値があり、そうでなければならぬと思い込んでいる娘。

奉行
そのとおりだ。そういう娘は心の底に天狗の妄念と同じ琴線を持っておる。だから共鳴し、憑かれてしまうのだ。


怖いです


オカルト的なものを一切信じない、事件には全て裏付けがあるとして取調べを進める同心
倉田主水
鬼神よりももののけよりも恐ろしいのは人間の方だ。都合の悪いこと、見たくないもの、聞きたくないことを不思議話の中に押し込めて、自分にも世間にも嘘をつき通す。人間ほど恐ろしいものはない。私は北町奉行所の同心として、この十手にかけて、そのような人間の嘘がつくりだす、まやかしの鬼神やもののけと闘おうと思った。それを心に誓ったのだ。

これもまた怖い


物語は桜の花の季節
桜の花には、日本人の感性に結びつく独特の感情が入り交じります

満開の桜の枝の間から見える娘の顔
想像しただけで身震いします

宮部さん、上手いですね

現代の上手のお江戸エンターテイメント でも長すぎる ★★★☆☆
畠中 恵の『ぬしさまへ』を読んで、すっかりお江戸の妖怪捕り物にはまり、正月休みに読了しました。 さすがに現在の上手。 一気に読ませますが、話の内容としては、全体に長すぎるのではないでしょうか。 特に、ハードカバー版で読んだのでそのような感じを強く持ちました。 そのボリュームを維持するために、複線的な話が挿入され、全体のテンポを損なっていると感じます。右京乃介とか良い脇役のキャラがもっと生かされれば、さらに良いと思います。しかし、1級のエンターテインメントであることには間違いありませんし、筆者の力量ははさすがです。期待しながら、他のお初捕り物控を読んで見たいと思います。
まだまだ読みたいお初の捕物帳 ★★★★★
読み終わって一寸しんみりした.著者の江戸物は深川に住んで四代目の筋金入りの東京言葉で書かれているのが他の作者に真似のできない貴重な正統性を保証してくれるだけに,このお初物もやはりかけがえのない存在なのだ.それがこの作品が書かれて以来十年余に亘って新作がないのは,由々しき欠落といはずばなるまい.震える岩 から 天狗風 と話の柄が大きくなってはきたが,著者の実力を以てすれば,これでお終いと言うのには早すぎる.まあ著者がその気になってくれなければどうしようもないことだけれど,そろそろ次のお初物をねだっても罰は当るまいと思ってはいけませんか.捕物帳は何より人情噺で風俗誌を兼ねる本質上,見掛けよりも手が掛かるものだってことは承知の上でのお願いなのですけど.聞いちゃあ頂けますまいか.
次作が早く読みたい! ★★★★★
 主人公のお初は、現代でいえばサイキック、超能力者です。人には見えないものが見えたり、ものにふれるとそこに残っている持ち主の思いを読み取ったり、その不思議なチカラで事件の謎を解いていきます。

 こういった設定は、ある意味なんでもありのストーリーになりがちで、だからこそキャラクターが魅力的でないとおもしろくないし、ラストをどういう風に持っていくか、というところが大事なわけですが、そこはさすが宮部みゆき、なのです。”おてんば”という言葉がぴったりのお初はとてもかわいらしいし、どこまでも不器用でまじめな右京之介、お初の兄夫婦や板前の加吉など、お初を取り巻く面々はとても人情にあふれ、魅力的な人たちです。

 ストーリー展開もスピードがあり、けっこうな長編小説であるにもかかわらず、厚みを感じさせません。今回は人と会話ができる不思議な猫ちゃんたちも登場し、さらにおもしろくなっています。

 お初と右京之介のふたりも、何となくいい雰囲気になっているし、早く次の作品が読みたいです。