もう一つ、この漫画に関心した事があります。数十年に渡る長期連載にも関わらず、絵のクオリティが全く下っていない事です。
絵柄自体は古典的な少女漫画風で、好みの分かれる所だとは思いますが、仕事の丁寧さは特筆すべきでしょう。
この巻でも、水晶の森やドワーフの村の細部が実に丁寧に描写されており、隅々まで観察しなければ気が済まない偏執的な読者には、一層の楽しみを供してくれます。
これほどのクオリティを保ち続けている以上、長期に渡る連載も止むを得ない、と納得出来る仕事振りです。
それらの多くはアシスタント諸氏の手によるものでしょうが、そうした質の高いスタッフを揃えたのも、作者のこだわりの顕れではないかと思いました。
丁寧な情景描写と、紆余曲折しながらもジワジワと進んでいくストーリー。トールキンの『指輪物語』にも通じるところがありますね。次巻が待ち遠しいです。