健康に対する視点が開ける
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愛知老年学的評価研究(AGES)における一般高齢者のデータベースに含まれる3万人以上のデータから。日本の高齢者の実態に迫っている。身体・心理的な実態のみならず、社会経済的因子やソーシャルキャピタルといった地域そのものの持つ因子にも視点を置きながら、分析をおこなっているのが特徴である。
序文にはこの書の目的として1)日本に「健康格差」はあるのか、どの程度のものかを検証すること2)介護予防の戦略見直しの必要性を明らかにすること、3)社会疫学研究の重要性を示すこと、としている。1)2)については本書を実際に手にして読み進められることを期待するが、3)について言うと、14のコラムの中に、分析方法だとかあまり聞き慣れないことばについてのとてもわかりやすい説明がなされており、全体としては研究論文の体裁をしている本書、つまり、ひとつひとつの章は「はじめに」「対象と方法」「結果」「考察」「まとめ」の形でつづられているものを非常にとりつきやすくしている。