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佐藤一斎『重職心得箇条』を読む

価格: ¥864
カテゴリ: 単行本
ブランド: 致知出版社
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   小泉首相が田中眞紀子外相にすすめた話題の書。江戸時代の藩士たちに多大な影響を与えた佐藤一斎の「重職心得箇条」に現代語訳を付し、人物学の権威として知られる安岡正篤が解説を施している。

 「重職心得箇条」の文字どおり、重職の心得を全17条、旧仮名遣いで掲載し、解説を付けている。文語と口語の対訳は巻末にまとめて掲載しているので、もともとの「重職心得箇条」の趣を味わいたい人は巻末を参照するとよいだろう。本書で紹介されている全17条のタイトルは、以下のとおり。

  1. 「人物」の条件
  2. 大臣の心得
  3. 時世につれて動かすべきを動かす
  4. 「きまり」にこだわらない
  5. 機に応ずるということ
  6. 「公平」を保つ
  7. 知識・見識・胆識
  8. 「世話敷と云わぬが能きなり」
  9. 形賞与奪の権
  10. 何を先に成し、何を後に成すか
  11. 包容の心
  12. 私心・私欲があってはならない
  13. 抑揚の勢
  14. 手数を省く事肝要
  15. 風儀は上より起る
  16. 機事は密なるべけれども……
  17. 「人君の初政は、年に春のある如きものなり」

   いずれもシンプルだが、重職に携わる人間に求められる資質や心構えを見事に表している。何度も繰り返し読むことによって、解釈も深まってくることだろう。人の上に立とうとする志のある人は、重宝すること間違いなしである。(土井英司)