ショーケースから品物を取り出すために
★★★☆☆
この本はアマルティア.センが飢饉の問題が国の食料供給の不足にあったのではなく人々の権限が損なわれたからだという考え方を示し、それまでの食料供給量からその土地の人々の貧困を計測するのでなく、あくまでもその土地の人々が必要とする物資を手に入れるだけの権原からその土地の人々の貧困を調べるべきだという権原アプローチを提唱しています。
本書は現在の国際援助や穀物の世界的な投機化に対する一つの視点としても十分に役に立ち、経済学を専攻する学生や官吏にはどのような目的でどの変数に注目すべきかについて自覚的になるためにぜひ読んでいただきたいです。
本書のベンガル大飢饉の章におけるベンガル州知事の苦悩は誰に対しても起りうることだからです。