錯覚の快感を楽しむ
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本著作には様々な錯視が掲載されています。20人の作家の代表的な作品がパッケージされていますが、20人のそれぞれについてが一冊の本になるであろう有名な作家達です。この著作の使い方として3点挙げておこうと思います。
1.自分のお気に入りの作家を見つけるためのイントロダクション(入門書)として
2.錯視の分類の解説書として
3.錯覚の快感を楽しむものとして
ところで、視覚に限らず、聴覚、嗅覚、味覚、触覚等所謂五感に関して、様々な錯覚が発見されています。
これらは、錯覚を扱ったサイトなどでいくつか紹介されています。
書籍に関しては視覚が最も多いのですが、他の感覚についての書籍も大いに待たれます。
これら五感の錯覚を類型的にまとめたエンサイクロペディアができないものでしょうか。
現在の出版業界は、「利益性(売れ行き)」を重視した中身の薄い商品が溢れている様に思います。
本著作のような文化的・啓発的な娯楽性のある商品の出版を期待したいです。
だまし絵から錯視芸術まで(夢と覚醒の間)
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地方紙の図書紹介欄にこの本の記事が載っていた。同時に掲載された収録作家の一人であるロブ・ゴンサルヴェスの幻想的で美麗な絵画が気に入って私はこの本を購入した。あれっ!?訳者の坂根巌夫氏は、私が丁度30年前の若き時に買ったM.Cエッシャーの画集に、解説者として名前を連ねていた人ではないか。どうりで同じアンテナだからピンときたわけだ。
これはとても斬新で興味深い内容の作品集です。「錯視芸術の巨匠」なのか?「だまし絵作家」なのか?ずい分と格差(?)のある言葉で同じアーチスト達に二重の呼称でタイトルをつけたのは何だか変にも思うが、それだけ知的かつ偏執的な感覚とパワーをもった多彩な美術アーチスト達を紹介しているからなのだ。ダリ、マグリット、エッシャーなどを好む人なら、現代のさらに進化したアーチスト達の創出する「不思議な混乱と驚きのファンタジー」にもすぐに馴染んでしまうだろう。一度に消化するにはディープ過ぎるので暇をみてはこの本を開いて楽しんでいる今日このごろ。