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軍事学を学ぶ 2018年4月号: 中国軍のA2/ADをめぐる研究の最前線

価格: ¥0
カテゴリ: Kindle版
ブランド: 国家政策研究会
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軍事学を学ぶ2018年4月号では、「中国軍のA2/ADをめぐる研究の最前線」という特集テーマで研究論文3本を紹介し、併せてアレクサンドロスの戦争史を題材とした政策、戦略の演習問題を掲載しました。

A2/ADとは、中国軍の戦略を説明するために使われている用語です。A2は接近阻止(Approach Denial)を、ADは領域拒否(Area Denial)をそれぞれ表しています。
詳細については論文紹介での説明に譲りますが、基本的には弾道ミサイルのような長射程の兵器を活用し、中国の周辺海域に米軍の部隊が進出することを防止する作戦構想のことを意味します。

A2/ADの概念が研究者の間で使われ始めるのは2000年代に入ってからですが、当時は米国での同時多発テロ事件の影響もあって、中国の脅威よりも中東の国際テロリスト集団が注目されていました。
そのため、A2/ADの脅威が一般的に認識されるようになるのは2010年代になってからであり、米国ではこれに対応するための戦略、作戦の方向性をめぐって議論が戦わされてきました。
そんなA2/ADの研究も最近になって新しい展開を見せ始めています。A2/ADの実態を従来よりも厳密かつ詳細に分析しようとする動きが出てきたのです。

今回紹介する論文は、いずれも従来のA2/ADの認識をより精緻化し、また再検討する必要性があると主張したものであり、今後の議論の流れに大きな影響を及ぼす可能性があります。

はじめの論文紹介「中国軍と米軍の勢力は拮抗する」で取り上げた論文は、中国軍のA2/ADの影響が及ぶ地域はこれまで議論されてきたよりも狭い範囲に止まることを指摘しています。
さらに、A2/ADに対抗するための米軍の作戦構想も技術的な限界を抱えていると論じており、東アジアで米中間の軍事力が拮抗する可能性が高いと予測しました。

次の論文紹介「中国軍の海洋進出に対抗できるのか」で紹介した論文でも、同じような予測が述べられています。
こちらで取り上げている研究では、米軍が中国軍の海洋進出に直接対抗しない積極的阻止という戦略を提唱しており、台湾、日本、ベトナム、マレーシア、インドネシアなどの中国の近隣諸国の軍事力によって十分に中国の海洋進出に対抗できると主張されています。

最後の論文紹介「接近阻止の理解を問い直す」で取り上げた論文では、A2/ADに対する過去の研究者の理解の仕方が批判されています。
戦略としての接近阻止を正しく理解するためには、非軍事的手段の運用についても慎重に考慮しておく必要があり、米国の側も非軍事的手段の運用について備える必要がある、と論じています。

演習問題のコーナーでは、古代マケドニアの国王であるアレクサンドロスの政策と戦略について検討します。
ペルシアを遠征するに当たり、当時のアレクサンドロスが直面していた国内外の脅威について解説し、それらに対処するために最も適切な戦略が何かを出題しました。

東アジアにおいて中国と米国の勢力関係がどのように変化するかについては、日本として予断を許さない問題です。

今回、A2/ADという特集テーマで取り上げた研究論文は、いずれも今後の東アジア情勢の推移を見極める上で見過ごすことができない内容であり、さらに調査研究を進めるための視座を与えてくれるものだと思います。(まえがきより)