イエス誕生から原始キリスト教成立まで
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写真や豊富な解説でキリスト教に関するおおざっぱな知識が得られる。上巻は数々の奇跡を起こし、十字架にかけられ、3日後に復活したとされるイエスの本当の実像を探ろうとしている。また実際に「ユダヤ教イエス派」とも言えるユダヤ教内の改革運動に過ぎなかったイエスの教えを「異邦人」に広め、世界宗教としての「キリスト教」を誕生させたパウロの役割の大きさに注目している。弾圧の対象からローマ帝国の国教になるまでの過程、グノーシス派、アリウス派などカトリックから「異端」とされた分派にも目が向けられ、キリスト教を相対化し、複眼的な視点で見直している。巻末特集の「聖書総解説」では四福音書と使徒言行録、パウロの手紙、黙示録からなる正典以外に、各種外典などの解説もあり便利である。