ふたりの王女
★★★★★
ガラスの仮面がどうこう、マヤと亜弓さんがどうこうって言うより、
「ふたりの王女」って物語自体が好きなんです。あんまり物語自体に没頭して読み進めたので、
「舞台では私は王女になれる」「充分にやりあいましょう」的マヤや亜弓さんのモノローグが邪魔に思える程(笑)。
ラストのアルディス、オリゲルド、二人のそれぞれの台詞。
それぞれが物語冒頭からは少し変化しており、それでもとても二人らしく、感動的です。
「ふたりの王女」は、ほぼ見開きページで終わり、ゆっくり幕が降りていく場面まで描かれているのですが、
あれ読んだ時、私も漫画の中の客と一緒に拍手したくなりました。
しかし、劇最後の台詞を叫ぶあの役の人、実際になったら緊張するだろーなー。「声裏返るなよ俺ー。これでこの芝居終わるんだぞー。これで締めだそー。」とか思ってるかも…。
…そこまで考えてしまう程、「ふたりの王女」が好きです。(笑)
しかし速水真澄。この手のドラマ(光と影、白と黒)の場合、人気がでるのは黒(オリゲルド)側だって解りそうなもんじゃん…。
黒ったって、必ず「黒にならざるを得なかった悲劇」込みで描かれるんだから…。
ある意味最も皮肉な芝居
★★★★★
天性の才能に恵まれる北島マヤと、努力と野心の人姫川亜弓。 呼吸をするように人を愛し、愛されるアルディスと、復讐と野望に燃えるオリゲルド。
ストーリー展開などは別にして、この「二人の王女」はマヤと亜弓のキャラクターを暗示しているような気がする。
終わってみれば、この芝居はこの配役でないと、と思える。
愛という不確かなものを疑わないアルディスは亜弓には似合わず、ただ自分の力だけを信じて生きるオリゲルドもマヤには似合わない。
「二人の王女」の主役は確かにオリゲルドだったが、それは単に、天才(アルディスの博愛は才能である)に感情移入出来る人間は少ないというだけのことではないか。
「ガラスの仮面」全編を通して、崇められるべき主人公は北島マヤだ。しかし、最も読者の共感を得、ヒロインになることが出来るのは姫川亜弓。
そう思わせる「二人の王女」であった。
テレビ芸能界失脚
★★★☆☆
この巻では、母親の死をうまく利用した乙部のりえの陰謀により見事にテレビ演劇の世界から追放されるマヤの姿が描かれています。代役の乙部のりえは舞台劇での主役を射止めるが、偶然乙部の悪事を知った姫川亜弓がリベンジのために脇役を買って出るというストーリー。
マヤはいつも徹底的に叩かれ這い上がっていくパターンが多いのですがこの巻では叩かれっぱなしでまだ立ち上がり目処が立ちません。いずれ立ち上がることが分かっているわけですが、波瀾万丈の生き方がマンガの主人公にはよく似合います。でも少女マンガ特有というか悪役の陰湿な立ち回りの場面が多いので、あまり好きなパターンではありません。
二人の王女後半
★★★★★
「二人の王女」後半が収録されています。
マヤの復活をかけての芝居、マヤは亜弓さんと対等に演技できるのか、最後の直接対決シーンではハラハラさせられます。やはり目が離せません。
二人の芝居に対する評論家や観客の反応も面白いですが、「二人の王女」の反対の道を歩いていくその中身も、もちろん楽しめます。
ガラスの仮面シリーズは何度も読みたい名作です。
★★★★★
現在もまだ完結していないこの物語は、何年たっても色あせることなく、人を惹きつけてやみません。
少女漫画を読むなら、避けては通れないこの漫画。
平凡そうで素晴らしい才能を持った少女、そして恵まれた環境にある美貌の宿敵。汗と涙と青春と、そして愛の物語です。