マネーマッド vol.2: 歓喜と監禁
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カネ儲けの秘訣。
それは「欲しがってもらうこと」。
売るのではなく、欲しがってもらうのだ。
「いりませんか」と提案していく必要なんて、ひとつもない。
誰かが強烈に欲しくなる状況を作ったあとは、「ください」と言われる未来を、じっと待つ。
カネ儲けはどこまでいっても、これだけだ。
「どうやったら欲しがらせることができるのか」って?
それは、この話を聞けばわかることさ……。
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「これからナイフで首を切る。おまえはおれが死んでいく音を聞いてくれ」
1984年(昭和59年)、東京・高円寺、ある秋口の熱帯夜。
演劇漬けの生活の果て、就職活動まっさかりを生きる岸が握りしめた受話器のその向こう側。
ごとりと硬いものが落ち、低く流れる『天国への階段』をバックグラウンドミュージックに、
しゅうしゅうとガス漏れのようなノイズが響く。三島の死ぬ音だ。
自らの生命を途絶させた三島という男は、岸の信仰の対象だった。
「好きなことに熱中しろよ。おまえが自分の法律に従って、
自分の欲求をすべて解放できたら、カネは自然と入ってくる」
三島はうそぶき、血気盛んな岸をいなして先導していた。
役者としての栄光、ファッション、思索力、暴力、カネ、言葉のセンス、所作、夢の結実……
三島とは、岸の欲するすべてを備えた「神」のような存在だった。
その三島が死んだ。
「おまえの星をおまえらしく生きてくれ」
受話器越しの最期の言葉を受け止めきれず、ぼろぼろの廃人状態となった岸だったが、
かつての縁から温情を恵まれ、小さな広告代理店のコピーライターの職に就くこととなった。
膨大な仕事量で二四時間の働きづめもさまになってきたある日のこと。
事なかれ主義の横溢する食品会社のオリエンテーションにて、
鮮烈なスマッシュを発そうとしたライバル企業の新人に、岸は心を躍らせた。
新人の名は、加藤。
カネで天下を取りたい加藤と、カネに復讐を果たしたい岸。
対照的な「相棒」どうしが莫大なカネを得るための、それぞれのレベル上げが始まった。
おりしもバブル華やかなりし頃。
技術の体得と転職を繰り返した岸は、膨大な仕事を回しながらも資金繰りにいつもあえいでいた。
そんな矢先、相棒・加藤の発案でふたりの新事業がまとまった。
当時の日本では未上陸の音楽フェス「レイブ」の立ち上げがそれである。
目指す資金は、一〇〇〇万円。
カネの亡者(マネーマッド)となり果てる、ひとりの男の地獄をさまよいゆく遍路。
その地獄は、はたしてどんな有り様だったか……
マネーマッド二巻、刮目せよ!
【著者 プロフィール】
岸正龍(きし・せいりゅう)
サイコドライバー合同会社 代表社員
株式会社浅野屋(モンキーフリップ)代表取締役
一般社団法人日本マインドリーディング協会(JMRA)理事
JMRA公認グランドマスターマインドリーダー
エニアグラム研究所 トレーニングプログラムPart1~3終了
C+Fエニアグラムトレーニング二期卒業
米国NLP協会認定エリクソンヒプノ・プラクティショナー
行動心理士
1963年1月12日名古屋市中区大須生まれ
東海高校を卒業し上智大学経済学部入学
3年次に多摩美術大学芸術学部にも入学
大学時代は芝居に明け暮れ、卒業を前に浅井企画に所属。
お笑い芸人を目差すも挫折しコピーライターに。
徒弟制の企画室で365日24時間勤務の修業を積み、デザイナーに転職。
竹下通りを席巻したタレントショップ数店のグッズ企画とデザインを担当し、
折からのバブルもあってこの世の春を謳歌する。が、すぐにバースト。
お金に詰まり、人間関係も悪化して、実家である名古屋に逃げ帰る。
1996年「モンキーフリップ」をオープン。
開店当初は“メガネ雑貨の小さなお店だったモンキーフリップを、
他に類を見ないデザインと心理誘導を駆使したマーケティングで、
地方発のブランドながら全国に熱いファンを持つアイウェアブランドへ成長させる。
その活躍は、テレビや雑誌など多数のメディアで取り上げられている。
また、「人間心理をビジネスやコミュニケーションに活かす」講演やセミナーを、
小学校から大学、商工会から海外まで多数実施。分かりやすく役に立つと好評を博している。
しかし過去は暗く、小学校低学年はひたすらイジメられる日々だった。
そのイジメが苛烈を極めたため、「他人を意のままに操れたらどんなにいいだろう」と強く想い、
心理学、エリクソン催眠、コールドリーディングやメンタリズムを貪欲に探求。
特にエニアグラムは、アメリカの第一人者であるドン・リチャード・リソ氏(2012年他界)、
ラス・ハドソン氏の流れを汲むC+F研究所にて2005年より10年に渡り本格的に学び、
破壊力抜群の対人コミュニケーションスキルとして「エニアプロファイル」を産み出す。
エニアグラムをビジネスに取り入れた「ゼニアグラム」も提唱し、
地元名古屋で成功者を生み出している。
<受賞歴>
2002年 ワクワク系マーケティング実践会社長のアカデミー賞グランプリ
2010年 アイウェア・オブ・ザ・イヤー2011 メンズ部門
2013年 グッドデザイン賞
<著書>
相手を完全に信じ込ませる禁断の心理話術 エニアプロファイル
超人気キラーブランドの始まりは、路地裏の小さなお店から