マネーマッド vol.4: 星は巡りて
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あんたに聞きたいことがある。
「人はみな星を背負っている。
生まれ落ちた瞬間にその星は決まっていて、
星の定めに従って生きれば素晴らしい人生が訪れる。
逆に、星を知らずに生きれば過酷な人生になる」
いつかの新宿ホコ天で、おれはジジイからそう聞いた。
そこで、あんたに質問だ。
おれがこれから話すことは、間違いなく「過酷な人生」の部類に入る。
でも、おれはそいつに感謝してるんだ。正直に、心から。
これは一体どうしてだ?
おれの星が狂っているからか?
それともおれが狂っているからか?
なぁ、頼む。教えてくれよ。
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1984年(昭和59年)、東京。
上智大学四年生の演劇青年・岸は、師と心酔する表現者・三島の、
斬首自死という残酷すぎる実況音を受話器越しに聞かされた。
「欲求を解放し、おまえ自身の星を生きろ」という遺志を刻まれた岸は、
胸中の闇をそのままに、小さな広告制作会社へと入社し、
最大手広告代理店の花形新人・加藤と、相棒の契りを果たす。
カネの力を利用した「覇権」をもくろむ加藤と、
三島を自死に追い込んだカネの暴力に「復讐」したい岸。
それぞれの目的のために
無修正アダルトビデオの制作と通信販売で山と稼いだ。
岸は現金という説得力と、ブラックな商売で発揮したおのれの才覚に酔った。
しかし春は短かった。
周到に秘匿していたはずの荒稼ぎが、悪い筋に漏れていた。
時は1989年、昭和天皇崩御の年だった。
悪い筋に寝込みを襲われた岸は、
同棲中の彼女・真琴を拉致されたうえ、
自身も瀕死までの暴行を加えられ、金融業の事務所へと連行。
突き付けられたのは、身に覚えのない三〇〇〇万円という借金だった。
借金取りに怯え、働きづめ、小銭を漁ったとて、
利息返済もままならず精神崩壊、絶体絶命の岸。
そのなかであらわになった、相棒の裏切り。憎悪。絶望――。
ドン底に落ちた岸が起した行動は
巧妙かつ壮大な詐欺の芝居。
認知バイアス、アンカリング、ダブルバインド……
実地に学んだ心理術を叩き込み、
実働三時間弱でトータル稼ぎは3400万円を荒稼ぎ。
いわれなき借金を、完済した。
それから半年。
深夜帰宅した岸の部屋のその前に、
憎き加藤の、飄々と変わらぬ姿があった……。
カネの亡者(マネーマッド)は地獄を見ない。
息する触れるものたちが、後ろ姿で地獄に変わる。
マネーマッド第一部、ここに完結!!!
【著者 プロフィール】
岸正龍(きし・せいりゅう)
サイコドライバー合同会社 代表社員
株式会社浅野屋(モンキーフリップ)代表取締役
一般社団法人日本マインドリーディング協会(JMRA)理事
JMRA公認グランドマスターマインドリーダー
エニアグラム研究所 トレーニングプログラムPart1~3終了
C+Fエニアグラムトレーニング二期卒業
米国NLP協会認定エリクソンヒプノ・プラクティショナー
行動心理士
1963年1月12日名古屋市中区大須生まれ
東海高校を卒業し上智大学経済学部入学
3年次に多摩美術大学芸術学部にも入学
大学時代は芝居に明け暮れ、卒業を前に浅井企画に所属。
お笑い芸人を目差すも挫折しコピーライターに。
徒弟制の企画室で365日24時間勤務の修業を積み、デザイナーに転職。
竹下通りを席巻したタレントショップ数店のグッズ企画とデザインを担当し、
折からのバブルもあってこの世の春を謳歌する。が、すぐにバースト。
お金に詰まり、人間関係も悪化して、実家である名古屋に逃げ帰る。
1996年「モンキーフリップ」をオープン。
開店当初は“メガネ雑貨の小さなお店だったモンキーフリップを、
他に類を見ないデザインと心理誘導を駆使したマーケティングで、
地方発のブランドながら全国に熱いファンを持つアイウェアブランドへ成長させる。
その活躍は、テレビや雑誌など多数のメディアで取り上げられている。
また、「人間心理をビジネスやコミュニケーションに活かす」講演やセミナーを、
小学校から大学、商工会から海外まで多数実施。分かりやすく役に立つと好評を博している。
しかし過去は暗く、小学校低学年はひたすらイジメられる日々だった。
そのイジメが苛烈を極めたため、「他人を意のままに操れたらどんなにいいだろう」と強く想い、
心理学、エリクソン催眠、コールドリーディングやメンタリズムを貪欲に探求。
特にエニアグラムは、アメリカの第一人者であるドン・リチャード・リソ氏(2012年他界)、
ラス・ハドソン氏の流れを汲むC+F研究所にて2005年より10年に渡り本格的に学び、
破壊力抜群の対人コミュニケーションスキルとして「エニアプロファイル」を産み出す。
エニアグラムをビジネスに取り入れた「ゼニアグラム」も提唱し、
地元名古屋で成功者を生み出している。
<受賞歴>
2002年 ワクワク系マーケティング実践会社長のアカデミー賞グランプリ
2010年 アイウェア・オブ・ザ・イヤー2011 メンズ部門
2013年 グッドデザイン賞
<著書>
相手を完全に信じ込ませる禁断の心理話術 エニアプロファイル
超人気キラーブランドの始まりは、路地裏の小さなお店から