ロイ・ハーグローヴの最新作がこういった形なのは少々驚きである。もともと新世代ジャズミュージシャンといった趣はあったがここまで、ヒップホップ・ファンク的な要素を打ち出した作品を新作として発表するとは思わなかった。古典的なジャズファンには多少退屈なのかもしれないが、今の最前線の音、つまり即興演奏としてのジャズ的手法とともに、様々なリズムやメロディ、ハーモニーを組み込んでいくことを気張らず、わかりやすく示した点で非常にすばらしい。
参加したミュージシャンもジャズ系人脈からR&Bのスター、新進気鋭の新人からベテランまで幅広く、またそれぞれの個性もしっかり出ている。
ジョージ・クリントン率いるPファンクの代表バンドのひとつファンカデリックの「I'll stay」を取り上げている辺りから推測するとグルーヴミュージックとしてのブラックミュージックを切り口にして製作されたのかもしれない。
それぞれの曲がゲストのサウンド+ロイのサウンドになっていて、ゲストはおまけではない感じがすごく好感が持てる。
「俺を型に嵌めんなよ」といってるかのようなバラエティも良い。
そして確実にフィールしたプレイが録音して納められている。
こんな音を聞かされると次を期待してしまう。