言志後録
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佐藤一斎先生の57歳から約10年間に亘って書かれた語録で「言志後録」と呼ばれるものである。流石、西郷隆盛が「言志四録」(この文庫本シリーズ1−4)から101項目を選び出し座右の銘としていただけのことはあり、人生のチャートとして、おもしろく読ませて頂いた。よくこれだけの分量の語録が出来たものだとつくづく感心させられる。
自分としては、今後も「論語」や「菜根譚」と同様座右の銘として、そばに置いておきたい本である。
訳者の付記は蛇足ですが
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西郷隆盛が、座右の書としたといわれる本書は、修養書としてはすばらしいできであると思います。幕末の儒学の第一人者であった、佐藤一斎が42歳から80歳にいたるまでに綴った、章句が我々の心に啓蒙の光を与えてくれます。
私は、論語と共にその章句を味わいながら読みました。
確かに、この訳者が付記で述べるように、非科学的なと思われる章句もありますが、これは蛇足ですね。必要ないと思います。感想は、筆者が述べるものではなく、読者が感じるべきもの。門外漢を称し謙虚なまえがきをしている割には、うっとうしいなあって思います。
しかし、そこはあまり気にせず、数多い章句の中から、自分の座右の銘とすべき言葉に出会い、修養の糧とされれば、「言志四録」の本旨に違うこともないかと思われます。蛇足ながらも、参考に供されている他の名言は、いいものもありますよ。
珠玉の箴言集
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ちまたには様々な自己啓発本があふれていますが、
これ一冊読んだだけで他にはいらなくなるのでは
ないかと思うくらい、インパクトのある本でした。
「百年、再生の我無し。其れ曠度すべけんや」
(百年たったらまた生まれてくるわけではないの
だから、一日一日を空しく過ごしていい筈がない)
の一文を見出しただけでも、本書と出会えたありがたみ
を感じています。
巻末の「重職心得箇条」もいい
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実は「言志四録」を最初に知ったのは、「重職心得箇条」についての本を読んだことだった。ただし本書に収録されているのは安岡正篤著『危機静話』からのもの。ここは本文と違って漢文や注もない。この四巻の一巻で書き忘れたことだが、「内容索引」と「目録」がついている。「目録」は訳者による見出しの一覧なので、必ずしも読者の役に立つかどうかはわからないが、少なくとも「内容索引」は役立つこと間違いない。たとえば「兵法」からすぐに、孫子の言葉への批判にたどりつく、といったことができる。このあたりは訳者のバックグラウンドとも関係して、実に合理的。