本書は「ラジオノート」シリーズの第7章と第8章をまとめたものです．既刊の電子回路の基礎I（同調回路，高周波増幅回路），II（FET増幅回路，復調回路，低周波増幅回路）の続きです．
　本書の目次は以下の通りです．レフレックスラジオは，一つのトランジスタで高周波増幅と低周波増幅の両方を行う，ユニークなラジオです．ストレートラジオと比較すると，回路構成が簡単となり，製作が容易なラジオです．

　第7章では，レフレックスラジオの製作例と基本回路構成を解説しています．ストレートラジオから出発して，レフレックスラジオの基本形を示し，徐々に変形を加えて，ネットでよく見かける倍電圧検波回路付きのレフレックスラジオへと導いています．

　第8章では，レフレックスラジオの理論を解説しています．レフレックスラジオの原理は簡単です．簡略等価回路により理解することができます．詳細な理論はストレートラジオの理論の応用です．本書では導出の過程を省略することなく詳細に論じています．本書により，レフレックスラジオの基礎理論をしっかりと理解することができます．

第7章　レフレックスラジオの製作

　7.1 組み立て
　7.2　調整
　7.3　レフレックスラジオ　アラカルト（よく見かける回路図へ）

第8章　レフレックスラジオの理論

　8.1 ストレートラジオからレフレックスラジオへ
　8.2 レフレックスラジオの周波数特性

　ラジオに関しては世に多くの製作事例集が出版されています．ネットにも多くの製作記事が掲載されています．しかし，製作事例と電気・電子回路の基礎理論を同時に著した書籍は見当たりません．本シリーズの狙いは以下の通りです．

(1) 初心者にも作れるような製作事例を紹介します．
　簡単なストレートラジオから始めて，レフレックスラジオ，スーパーへテロダインラジオと段階を追ってレベルアップしていきます．全てのラジオをブレッドボード上で製作しています．半田づけは，一部の部品を除けば，一切必要ありません．部品を販売しているネットショップを紹介しています．本書はラジオを作ってみようという初心者の助けとなります．

(2) 電子回路の初学者の道しるべとなるように，電子回路の基礎から論じています．
　本書は大学・高専の教科書に出てくる電子回路を実際のラジオの回路と対応づけて，その理論を順を追って論じています．抽象的な電子回路論と具体的なラジオの実験結果との対応づけも行っています．ラジオを理解することで電気回路，アナログ電子回路の多くを理解できます．本書は電子回路の初学者の道しるべとなることができます．

(3) 電子回路を一通り学んだ人がさらに深く理解できるように，電子回路を深く論じています．
　大学や高専の教科書では簡単にしか触れられていなかったり，省略されていたりする電子回路の理論を，本書ではさらに一歩進めて，一歩深めて，導出の過程を省略せずに，ていねいに論じています．本書は，アナログ電子回路を一通り学んだ人が，実はよく分かっていなかったところをなるほどなるほど，と深く理解する助けとなることができます．

　本シリーズを読破した読者は電気・電子工学の基礎である電気回路論，電子回路論を深く理解していることでしょう．

本シリーズの読者からいただいたコメントに

１．それぞれラジオの組み立て編があり写真や立体配線図から実際に作っている気になれた．
２．グラフやオシロ画面がカラーで印象深かった．
３．式の変形過程が省略されずに丁寧に記述されていて分かりやすかった．また，「しっかりついてきて」，「長いけどがんばって」などの言葉で，注意を喚起できた．
４．電子回路の基礎理論と製作例の対応が見事にとれていた．
５．実験値と理論値が、検討を深めていくうちにしだいに合ってきた。

というものがありました．

ラジオノートシリーズはこちらにあります．
http://www.mybook-pub-site.sakura.ne.jp/Radio_note/index.html

著者紹介
1985年名古屋大学大学院工学研究科電気系専攻博士後期課程修了
現在　名古屋大学大学院工学研究科教授・工学博士
専門　電気工学，ソフトコンピューティング，感性工学