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相対性理論 (岩波文庫)

価格: ¥630
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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門外漢的読み方 アインシュタイン篇 ★★★★★
理数学的素養と呼べるものは皆無。強いてあげるならば珠算4級。なのに何で読もうと思ったか。ここ最近面白そうだなと思って手に取るノンフィクションの3冊に1冊の割合で物理学が絡んでくる。当然アインシュタインの名前も出てくる。過日「非線形な世界」という本を読んで数式や表を端折っても何とかなるとささやかながら手ごたえをつかみ、現代物理学の本丸アインシュタインの論文に挑戦するときが来たと思ったのだ。岩波新書の「物理学はいかに創られたか」で予習はしてある。相対性理論のアウトラインをアバウトにラフにでも掴んでおけば、今後読む予定の最新宇宙論の本やタイムマシーン理論の本をもっと興味深く読めるだろう。という訳で、今回も数式は飛ばした。それでも若き日のアインシュタインの論文が袋小路にはまりこんでいた物理学の世界に風穴を開けたことは体感できた。アインシュタインの文体、プロットもきゅうりのようにクールだった。本書の半分を占める訳者の解説も相対性理論の理解をやさしく助けてくれた。複雑な案件に対する導き出された幾何学の方程式のシンプルさに美を見出すといった鑑賞はできなかったけれど、世界は慣性の法則に満ちていて相対的に出来ていることは、ある種のメタファーのようにストンと腑に落ちたと思う。読書の幅がさらに広がればと願ってやまない。
以前と以後 ★★★★★
わずか24ページに過ぎない論文が、人知れず世界を変えた。人間の固定的な時空観を打ち破った。それは人類の歴史始まって以来の事で、物理的な世界観はアインシュタイン以前と以後では全く異なるのである。1905年「運動物体の電気力学」という、控えめな論文が26歳の青年によって「アナーレン・デア・フィジックス」に掲載された。ガリレイ以来、いや、ガリレイ以前も含めて、人間は天空を、ごく日常的な常識的な感覚で見つめていた。プトレマイオスは星々を、かなり遠くにある人間の魂と読んでいた事であろうし、天空は霊に満ちていると考えていた。だが、自然哲学者アリスタルコスは、幾何学の定理を応用し、地球の大きさを、古代の時点では驚くほど正確に導き出した。古代に於いてはアリスタルコスだけが、輝く星星が我々の太陽の如く、何かに因って燃えている星である事を信じていた。少なくとも古代ギリシアでは、この一人の冷静な男だけが、天空を見つめて、現代と共通する方向の理解を示している。ただ、彼には発展した数学という道具も、精密な測定技術も持っていなかった。中世のキリスト教的世界観は、ギリシアの自然哲学の遺産を尽く放逐して仕舞い、近世に於いてさえ、星と宇宙は国家や人間の運命を左右する象徴と目されていた。事実、ヨハネス・ケプラーは、占星術師であったし、アイザック・ニュートンも、それ以上の神秘家であった。ガリレイのみが、比較的常識家であり、実験家であった様だ。

永い間、この世界は、我々の日常感覚が適応される常識的な世界であると思われてきた。速度はどこまでも、足し重ねる事が出来る。これは、人間の懐くごく普通な感覚である。何故なら我々が生存する自然環境と範囲は、その事を自ずと証明しているからである。水の中に住む魚は、果たして水を意識しているであろうか?。精々、速い物と云えば馬かSLかと言う時代に、運動物体速度の相対性が、生活上の問題になる事はない。ガリレイが失敗した光速度の測定を、デンマークの天文学者レーマーは行い、当時、無限と思われていた光の速度を、木星の衛星の食を使って計測している。彼の導き出した数値は、近似値としては驚くほどの好い選を行っている。アリスタルコスと同様に、レーマーは実に頭のよい男だったらしい。こうして、永い月日が経ち、特殊相対論が出てくる下準備は整った。そして、若いアインシュタインが出現するのである。特殊相対論は、二つの原理から出発している。

(1)は、運動の相対性、つまり宇宙では我々が、ある方向に時速300キロで移動していたとすると、それを見ていた人が、我々から時速300キロで遠ざかっている、と仮定しても間違いではないと言う事で、この原則は、言葉上では誰しも納得するであろうが、発表当時は物理的意味を正確に、理解できる人は僅かであった。
(2)は、光速度を速度の極限とした事である。当時光を伝える媒体が何であるか、分からず困惑した状況だった。そこで光を伝える仮想の媒体としてエーテルという仮想の実体が考え出された。マイケルソンはこの仮想の実体を検出し様として、巧妙な実験を行った。地球は時速1660キロと言う速度で回転している。この速度と回転軸に直角の速度では、エーテルと言う実体の下では、光の速度に違いが出ると考えた。僅かの違いでも検出できれば、特殊相対論は出て来なかったろう。だが、速度の違いは何度やっても検出はされなかった。エーテルは存在しない。マイケルソンは、こう宣言せざる得なかった。特殊相対論は、この二つの前提から導き出せる帰結である。
それは、「光速下に於ける時間の遅れ」「質量の増大」「物質とエネルギーの結合式」である。
アインシュタイン以前、オランダの物理学者ヘンドリック・ローレンツは、ローレンツ変換により、数式的には相対論に到達している、ポアンカレやイギリスのフィツジェラルドは、特殊相対論の入り口まで来ていた。アインシュタインの論文が遅れれば、彼ら自身が特殊相対論を創り上げたであろうと言われている。特殊相対論は2次方程式の操作が出来れば数式的には理解できる。だが、物理的には、そこまで行くのは、実験的背景が不可欠であった。

人間が自然の理解を、革命的に進めるとどうなるか?と、言う問題をこの「運動物体の電気力学」という論文は象徴している。特殊相対論が1905年に発表されて、それが、O・ハーンとR・マイトナーの核分裂の発見まで三十数年の時間が在り、その結果が広島の空で炸裂するまで40年である。投稿者は特殊相対論が広島の二十数万人の婦女子と少年少女を焼き殺したと、言う積もりは無いが、ただ、真理の探究の中には、神秘の「魔法の箱」が有り、それを知る事は、人間の自然認識の進歩に繋がると同時に、野蛮なる時代に、その「魔法の箱」が、邪悪な者達に管理されている事実に、大いなる危惧を懐いている。大国が争いいがみ合う時代に、原子兵器の誕生は早すぎたからである。世界には安全保障という事を真面目な顔をしていう軍事評論家が大勢居る、どうしても戦争をしたいらしい。攻撃と言う悪の連鎖を止めない限り真の安全保障など存在しない。

特殊相対論の原論文の翻訳は、東海大学が編集出版した「物理学古典論文集」の一冊「相対論」の中に、アインシュタインの他の論文と共に収録されているので、興味のある方はお読みに成られると好いでしょう。この古典論文集は、統計力学を創りだしたクラウジウズやボルツマンとか、ウイラード・ギッブス、N・ボーアの論文なども収められ、科学史の理解には最適です。
解説が秀逸 ★★★★★
本書の前半はアインシュタインの相対性理論に関する最初の論文の邦訳で,後半はその解説です.

今までいろいろな本で相対性理論の解説を読みましたが,「電車に乗っている人を駅に立っている人が見ると...」というような話が多く,今ひとつピンと来ませんでしたが,本書の解説を読んで少し分かったような気がします.まったく数式のない解説というのも分かりにくいものですが,アインシュタインの原論文は数式と文章のみで書かれているので,それなりに難解です.一方,本書後半の解説では図を使って説明されており非常に理解しやすいものでした.この相対性理論に最初にたどり着いたアインシュタインは偉大ですが,言われてみればそうかもしれないという程度の難しさで,意外とシンプルな理論です.

相対性理論にしっくり来ていない人は是非どうぞ.
前半は予備知識無しで読める。後半は電磁気学必要。 ★★★★☆
19世紀までの力学では、観測者や観測対象から独立した"絶対時計"と"絶対定規"を措定し、原理的に誰もが同じ時計と定規を使って物理現象を観測していると考えられていました。
同じ時計と定規を使うのですから、だれが観測した結果でも測定値を比較することができます。

時間と距離が比較可能ならば、距離÷時間である速度も比較可能です。
とくに、速度vで動いている観測者、速度wで動いている観測者が同じ物体の運動速度を測定してその結果を比較すると、測定値にv-wだけ差が生じるはずです。
19世紀までの物理学が対象にしていた日常的な物理現象を説明するには、それで十分つじつまがあいました。

しかし19世紀後半に得られた電磁気学の研究成果は、力学の想定と相容れないものでした。
光源に対する相対速度がvである観測者とwである観測者が光の速さを測定した場合、力学にならえば測定値にv-wだけの差が予想されます。
ところが電磁気学の理論と実験は、両観測者の測定値が同じ速度cになると示唆したのです。

そこでアインシュタインは、絶対時計と絶対定規を前提に速度を定義するのではなく、光速度cを絶対的な基準におき、その派生物として時計と定規を定義することにより、力学と電磁気学の不整合を解消したのです。

本書の内訳は、原論文が45頁、訳者による注が35頁、訳者による解説が90頁です。
解説はわかりやすいです。
しかし相対性理論の理解が目的なら、他にも解説書が数多あるなかで(私は読んでないですが)、とくに本書を選ぶ理由はないと思います。
それでも原論文を読んでおくことは、それらの解説書の良し悪しを自分で判断する基準として役立つのかもしれません。
原論文の後半は電磁気学の知識が必要で、私には理解できませんでしたが...
他の本から始めよう ★★☆☆☆
ブルーバックスで相対性理論にふれた私です。
アインシュタイン自身の著書ということで大変名高いこの本を、いつか読みたいと思っていました。
結果、決して簡単な本ではありませんでした。数式がさっぱりわからん。
もちろん、わずかこれだけの分量の推論で、あの偉大な理論が見い出されたことは、驚異的ですが…。
相対性理論にこの本で初めてふれるというのは賢明ではないような気がします。