本質の再発見に
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フランソワ・ケネーから始まって、アダム・スミス、J.S.ミル、マルクス、マーシャル、ケインズ、シュンペーター、そしてガルブレイスなど12人の経済学者の経済理論を解説し、経済学史の流れを非常にコンパクトに分かりやすくまとめた渾身の書。
それぞれ小伝が紹介されているので、当時の時代背景と生い立ちから、12人の経済理論はもちろんのこと、彼らの思想、哲学の核となる部分まで辿ることができる。
筆者の言うとおり、「現代経済学の背後に隠されている古の哲学や思想の痕跡を再発見し、現代理論を盲信する危険性を防ぐ」ということが、経済学の歴史を学ぶ理由の一つであり、本質を発見できることも一つの大きな魅力なのではないかと思う。
また、12人の経済学者としての才能に留まらない教養、知性、人間性から、J.S.ミルをはじめ、「名文家」として通ったガルブレイスなどの著者としての作品も興味をそそられる。
正統と異端
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多様な経済学者の思考にふれることによって
現代の経済思想を見直す端緒を与えてくれる。
正統派から異端派まで視野に入れた人選で
各自の生き様と発想を魅力的に描いている。
骨太の一冊
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「経済学の歴史を学ぶ理由の一つは」と、根井氏は語る。
「現代経済学の背後に隠されている古の哲学や思想の痕跡を再発見し、現代理論を盲信する
危険を防ぐことにある」と。
本書ではフランソワ・ケネーにはじまり、スミス、マルクス、ケインズ等を経由し、
ジョン・ガルブレイスに至るまで、延べ12人の重要人物を取り上げる。全編で400ページ弱、
つまり一人あたりに割り当てられるのは30ページ程度。しかし、一介の概説書とは完全に
一線を画した密度を有しているのがこの一冊。
彼らが生きた時代を把握させるための小伝にはじまり、彼ら自身のことばを引用しつつ、
各々の思想の核となる部分を的確に披露してみせている。これはひとえに筆者の群を抜いた
能力ゆえになしうる仕事。ただの解説に留まらず、端々に力強いメッセージも覗かせる。
一読を薦める。氏の言葉の通り、経済学の歴史はまさしく「宝の山のようなもの」。
「宝の山」の「宝の山」たる所以、その底力を思い知らされる一冊。
経済学史を勉強したいなら
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代表的な経済学者12名を中心に、経済学の歴史を紹介し、キーとなる思想、学説についても的確にまとめられていて非常にわかりやすい。経済学史の入門書として、最適な一冊。
経済学を学ぶために。
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経済学の勉強をはじめる時、まずミクロ経済学・マクロ経済学という、いわゆる新古典派を学ぶのが普通です。ですがいかにその考えが生まれたか、いかなる過程を経てその考えが発展あるいは衰退してきたのか知らなければ、その知識は付け焼刃的なものにならざるを得ないと思います。かといって、その手の教科書には申し訳程度の歴史的事実しかかかれていませんし、初心者にとって分かりやすく、かつまともな経済学史の本はとても少ないのが現状です。
その点、根井さんは文章が上手で、かつ論理がとてもわかりやすい。そしてこの本は、ケネーからガルブレイスまでの思想、その思想の歴史的背景、その人たちの生涯を扱っており、経済学について一望できると思います。経済学部生だけでなく、経済について興味!!がある人には絶対にお勧めです。