2年振りの復活は少しオトナ風味
★★★★★
以前から作者自身がブログで『色々な意味でかなり工夫をしたつもり』と作風の変化を予告していたので楽しみにしていた。感想を一言で言うなら「秋月耕太 meets 神瀬知巳」。秋月ワールドとも言うべき独特のベッタベタな甘々世界ではなく神瀬作品の雰囲気にかなり近い。ヒロイン2人の揺れ動く悩ましい心情をきっちり描きながら、それでも愛しい主人公への想いが止められず溺れていく流れである。綿菓子から水羊羹に変わったような、しっとりと洗練されたオトナの甘さと言えよう。両親を事故で失った主人公(16歳)、その親代わりを引き受けながら姉弟のように過ごしてきた叔母(27歳)、他人ながら我が子のように接してきた亡母の親友(36歳)、ここには血縁の有無と実質的な関係という設定の妙がある。このお互いに不足な要素を補完しながら主人公を愛していく結末を迎えるのだが、それまではお互いが嫉妬して張り合ったり、主人公の将来のために距離を置こうとしたりする紆余曲折がある。理性と感情と愛欲が行き来する甘い心理描写に胸がキュンとする。ただ、後半から叔母と主人公の関係に変化が生じ、Sっぽい言葉責めを浴びせる叔母と、それに反応してM性を見せ始める主人公のやり取りには少し邪魔な印象もある。主人公の巧みな責めで攻守逆転してからは元の関係に戻って欲しかった。その代わり、慈愛に満ちた親友との情交は濃密でいやらしいの一言。一晩中交わり続け、その翌朝も寝起きのお口奉仕から朝食準備中の親友に背後から迫ったりするヤりまくり感が満載である。捻りを加えて安易な形にしていないエピローグも新味があって良い。秋月ワールド的無節操なリアリティの無さも捨てがたいが、本作も実用性は高く、全体的には充分に星5つ献上のハイレベルな作品である。