まさに「知の巨人」というにふさわしい人物。
「博覧強記」「博学多識」というのは彼のためにあるとさえ思える男。
粘菌学・植物学・民俗学などに大きな足跡を残し、
巨大な学問宇宙を独力で創造した男。
それが南方熊楠である。
彼の代表作の一つである「十二支考」は十二支の中の動物たちを
切り口に数々の伝説や書物を自在に引用しながら南方ワールドを
堪能させてくれる。
南方熊楠自身は波乱の生涯と奇抜な生活で知られたが
彼の書物は概して読みやすく、その上独特のユーモラスな
語り口が特徴で、読みながらつい微笑んでしまうことがある。