南方熊楠の残した思想と学問に真正面から取り組んだ本
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南方熊楠の残した思想と学問に真正面から取り組んだ本。熊楠と言えば奇行や博覧強記が有名ですが、本書ではそういった部分は捨象され、在野の学者・思想家としての熊楠の実績を中心として議論が進められていきます。本文200ページ余りの文庫本ですが、本書を読めば熊楠の学問の壮大さ、思想の深遠さに触れることができます。熊楠への興味が益々わいてくる、そんな良書です。
熊楠初心者におすすめ
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従前より南方熊楠に興味があったのですが、ちゃんと
本で読んだのは最近で、中沢新一氏の「森のバロック」
が文庫になったのがきっかけです。
「森のバロック」は熊楠の内的世界に深く切り込もうとする
あまりか、難解な書物であるような印象を受けましたが、
本書はかなり整然とした記述で熊楠の世界を概観させて
くれます。
読みやすさはこちらが抜群に良く、まとまった熊楠の文章も
採録されていますので、熊楠入門には、こちらがお勧めです。
とても楽しくなる熊楠の世界へのご招待
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この本の力で「南方熊楠の世界」に入り込んで度肝を抜かれます。本書を読んだら熊楠の原書を読んで格闘してみましょう!!分からなくなったらまたここに。役に立ちます。三部構成 1.南方熊楠の世界 2.南方熊楠の生涯 3.南方熊楠の仕事 付録に「神社合併反対意見」所収
南方曼荼羅についての研究が画期的
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著者は評論家鶴見俊介のおねぇさん。
南方熊楠、柳田國男の研究者。
南方曼荼羅に関する論考と、柳田國男との比較論考が画期的で実に面白い。
地球志向の比較学というサブタイトルがついているが、地球というよりも物質、生命、人類の三つをまとめて同じ視点から捉えているという感想。
根底に眠る哲学が、まったく同じモノであり、南方曼荼羅として集成されているという指摘は白眉。
熊楠評伝の白眉
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ほとんど四半世紀前に書かれた本であるが、その視点の斬新性および論旨の的確性はいまだに揺らいでいない。その後の熊楠ブームにおける幾多の熊楠紹介本と比較しても、これを超えるものはないのではないか。著者の熊楠を見る目は、その限界を指摘しながらもやさしい。返す刃で「縛られた巨人」熊楠を苦しめた日本社会の問題点を切る。