ディランを一番聞いていたのは10年くらい前でしょうか。音源もオフィシャルはほとんど持ってるし、バイオ本も何冊か読みました。でも正直一番好きなミュージシャンではありませんでした。どんな状況で何をやってもディランは凄い才能だ、なんて盲信するファンにはなれないし、かといって60年代の諸作品にある鋭さや「血の轍」のセンシティブには心を揺り動かされずにはいられない、そういうありきたりのファンの一人です、私は。
で、この本ですが、興味深く読めます。やっぱり凄いディラン、付き合いたくない嫌な奴ディラン、上昇志向で応援したくなるディランなど様々な角度で書かれています。他のバイオ本と決定的に違うのは、そういった視点を持ちながらもディランへの敬意を失わない文章。
50年代からあまり知らなかった80年代(デッドとのジョイントがこんな顛末とは始めて知りました)、90年代まで編年で書かれています。肩に力の入らないディランを知りたい方は是非ご一読を。